第3話 星創りの始まり
フィオラとカイルは、剣を置いた決意を胸に新たな星を創り始める。彼らは星を創る力を目覚めさせるため、それぞれの心の奥底に眠る記憶に触れる儀式を行う。その儀式の中で、二人の過去が具現化し始める。
星の核となる光が現れると同時に、闇の中から不気味な存在が姿を現した。それは「名前を読んではいけない者たち」と呼ばれる者たちだった。彼らは形を持たないように見えながらも、どこか見覚えのある姿をしている。フィオラとカイルはその正体に怯えながらも、逃げずに向き合おうとする。
「彼らは何者なの?」フィオラが震える声で尋ねる。
「わからない。ただ…どこかで見たことがある気がする」とカイルは答える。その瞬間、フィオラの記憶の中に、幼い頃に犯してしまった小さな裏切りの記憶が蘇る。カイルもまた、戦場で見捨てた仲間たちの影が脳裏をよぎる。
「これは…私たち自身の罪の影なのかもしれない」とフィオラが呟く。
二人は「名前を読んではいけない者たち」を退けることなく、彼らの存在を受け入れようと試みる。逃げることなく、自分たちの罪や恐れに向き合い、それを星の創造の一部に変えられないかと考える。
しかし、「名前を読んではいけない者たち」は次第に激しく二人を責め立てる。カイルは一瞬、再び剣を握りそうになるが、フィオラがその手を優しく押さえた。
「剣で彼らを払うことはできないわ。これは、戦うものじゃない…私たちが、赦さなければいけないものよ」
フィオラの言葉にカイルは頷き、二人は静かに目を閉じる。そして、自分たちの過去と罪を受け入れるための祈りを捧げた。
その祈りが届いた瞬間、「名前を読んではいけない者たち」の姿が次第に薄れていき、星の核に溶け込むように消えていく。そして、新たに輝く星の片鱗が現れる。
「これが、私たちの新しい世界の第一歩…」フィオラの瞳には、涙が浮かんでいた。
カイルもまた深く息を吐き、微笑む。「俺たちは、きっとできる。だが、まだ始まったばかりだな」
二人は手を取り合い、次なる一歩を踏み出すための決意を新たにする。新しい星の創造は、まだまだ道半ばだった。
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