第29話
花火大会と言えば花火。
その美しい花火を、恋人と一緒に見たい!と思うリア充が集まる花火大会。
……非常に迷惑である。
彼女たちは、私とその隣にいる親友みたいな非リア充の存在を忘れてはいないだろうか?
何故こんなに人が多い場所で、あんなにも堂々とイチャイチャ出来るのだ。
けしからん!!狂犬に噛まれて滅んでしまえ!!
私と親友は、狂犬になりきってガルルル……と危ない目をして唸る。
どこを見てもカップルカップルカップル……もう見すぎてパイナップルを見てもカップルに見えてしまう。
可愛い浴衣着て、可愛いメイクして、可愛い声出して、可愛い子ぶって。
男も男で、頼りがいがあるところ見せようと必死になってさ。
ただでさえ地球温暖化現象のせいで今年の夏はいつもより暑いってのに!
世界は地球を守るために、中世の魔女狩りならぬ現代のリア充狩りをするべきだ!!!
「花火大会は別に恋人と来なくてもよくね?ひとりでも見れるじゃん?なのになんであんな風に自慢するようにイチャつくの?」
親友がたこ焼きを「あーん」して食べさせているバカップルを見て呟く。
「脳内が桃色で現実に酔ってるんだよきっと。じゃなきゃあんな恥ずかしくてバカ丸出しなこと、出来るわけないじゃん?」
「脳味噌がきっと溶けてなくなったんだね。可哀想に」
「恋愛のことしか考えてない低知能なんだから、こんなとこにいないで病院に行ったらいいのに」
「そこで意地悪なジジイのヤブ医者に、麻酔無しの手術受けてしまえばいい」
私と親友は、暗い顔をして淡々と会話をする。
通りすぎた子供が、何故か悲鳴を上げたような気がしたが、気にしない。
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