第9話

すぐに口を大きく開けて笑うところ。


でも時にお気に入りのハンカチを無くして泣いているところ。




ころころと変わる表情が面白くて、僕は君と一緒にいるのが楽しかった。




大学は別々の所に行っちゃったけど、それでも僕たちはほぼ毎日電話をした。


周りからもよく言われたよ。



「毎日電話って、ウザくない?」




って。




でも、君との会話は話題が豊富で、正直退屈とか、飽きたりとかしなかった。


毎日電話しているのに、通話時間はいつだって一時間を越えていた。




たまにデートして、そして朝まで一緒にいたよね。



お互いが初めての恋人で、当然その先だって未経験だった。



初めてのキスは歯に当たって、唇が切れちゃったし……


君の血を見て、僕が顔面蒼白になって薬局へ向かった事だって、今じゃ笑い話だ。




そしてベッドの上。


二人とも赤面して、緊張で色々慌てながらも、繋がった時は号泣したよ。


あの幸福感、僕は絶対忘れない。





僕は君しか知らないし。


君だって僕しか知らないんだろうね。

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