第8話

『ありがとう。


本当に、幸せだった。


きっと誰よりも、僕は幸せ者だった』








────瞼を閉じれば、いつだって君の笑顔が浮かぶ。






肩まである、明るい栗色の髪を持った綺麗な君。


色白で華奢で、誰よりも女の子らしいのに、性格はキツく、でも誰からも慕われていた君。




高校生活最後の年、偶然同じクラスになった僕たち。


席も近く、趣味も合ったから、すぐに仲良くなったよね。





君は小柄な体で堂々と歩き、いつだって正論を言っていた。


悪いことはダメ。良いことはオッケー。


とても当たり前な事のに、それを実行し続けることは結構難しい。


なのに君は、易々とそれを行動に移していた。




誰からも尊敬される存在でいた。


花のように可憐で、でも太陽のように立派で眩しかった。





そんな君が、僕の彼女になってくれた。




長身だけが取り柄の、冴えない僕を「好き」と言ってくれた。



僕なんて、どちらかというと控えめで地味で、元気いっぱいな明るい君とは正反対だったのに。


それを言った時、君は笑って言ったよね。




『そこが好きだからしょーがない!』

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