忘れてはいけない黒歴史のその後の話。

逢坂 純(おうさかあつし)

これは本当に僕の話か、それとも脳内に流れ込む「彼ら」の言葉か?

過去にあったできごとのすべては、本当にあった事実なのだとしても決して忘れられるものではないのです。しかし、過去は変えられないし、現在も変えることはできない。

タイムパラドックスの理論で言えば、その通りでしょう。けれども、過去を顧みることで人は学習し、現在をより良いものにはできるのではないでしょうか。過去にあったできごとは「虚構」ではないのだから。だからこそ、人の生きた経験、記憶は未来への希望へと繋がるのです。自分の過去はその言動で少しづつ変えていくことができ、希望はそれによって生まれるのでしょう。未来はきっと明るいよ、誰もそうは言ってくれないけれど僕は自分の過去の経験から前向きにそう思うことができるようになるのです。

僕は人様に飼われたペットであると常に思っています。ペットが働いても、給料は貰えない。頭を撫でて褒めてもらえるだけ。タレントペットだって、ペットがお金を貰えることはない。僕はタレントペットにもなれないのです。只、ひたすらに消費するだけ。そんな事ばかり考えている僕だから、いつまで経っても自立のできない毎日を送り続けるだけなのです。

この日記とも思える黒歴史を見た人は、僕を異常だと判断するでしょうか?それとも人間らしいね、人間臭い人だねと思ってくれるでしょうか。

「事実は世界で在り、けれどもその世界に生きる我の存在は紛れもない実在である」。

有名な偉人でも何でもない僕の言葉です。

しかし、僕は自分の存在こそが不確かであるのだとも思ってしまうのです。しかし、過去に自分が犯した数々の経験は確かに削除することはできない事実なのです。

僕は煙草を一本吸うごとに何かを失っていきます。健康もお金もそうだけれど、それ以上に僕は煙草を吸うことによって信頼、家族の信用を失っていきます。そう思いながらまた一本また一本と煙草の箱から煙草を取り出すのです。煙草が違法だったら、いいのにと禁煙ができないことを嘆きます。僕は結構、真面目な性格だから喫煙が違法になったらきっと煙草を禁煙できるだろうと思うのです。「禁煙セラピー」の著者アレン・カーは煙草は麻薬だと言っています。そう合法的に依存させお金を散在させ、体を弱らせ、人を破滅に誘(いざな)う、それが煙草の正体だと言うのです。僕にはお金がない。そして頼れる家族がいる。だから、煙草を辞めることは、簡単にできる筈なのに。家族の存在は結構な割合で煙草の抑止力になります。だったら、今すぐ煙草をやめよう。煙草の魔力から、逃れる術はたくさん持っているのですから。それでも僕は煙草をやめられません。「煙草は害だ」。そう脳内に聴こえるその言葉はそれは幻聴なのでしょう。幻聴にまで禁煙を薦められても、僕はその声をすぐに忘れて、また煙草を吸ってしまいます。そうなった時、煙草で家を燃やしかけたことを思い返して、自省しようと思います。

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忘れてはいけない黒歴史のその後の話。 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808

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