幕間 時之剣

ギギギ…と音を立てて剣が人知れず抜けた。

カラン、と音を立ててその場に倒れる。そして、人の形をとった。

それは魔王の姿によく、似ていた。

           *

「あ…」

「どうした?」

「…起きた」

「何が?」

「……来る」

魔王はスノウの問いに答えずにそう言って、結界を張った。

突然次の瞬間に、よくわからない何かの余波のようなものがやってきた。

周囲の家や丈夫そうな建物がすべて吹き飛んだ。

街中だったはずなのに、まっさらな更地になった。

「え?」

スノウは驚いたようにきょろきょろと周りを見回した。

「これってどういうこと?」

説明を求めるように魔王の方を見た。

「…起きたんだ」

「だから何が?」

「…時之剣クロノスが」

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忘却の魔王と少女 藍無 @270

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