第6話 月1でくる「あいつ」との戦い
自分で言うのもなんだが、私の生理は比較的軽いと思う。
高校生の時に生理が原因でお休みをした子や、薬を飲んで授業にきてもひたすら「お腹が痛いお腹が痛い」とうめき声をあげていた子たちと比べれば軽症な部類である。
そう思ってきた。
だが実際は違う。私は精神的に重くなるタイプの人間だったと気づいたときは、すでに大人になっていた。
生理が始まる1週間~2週間前には、私は月1の「あいつ」と戦うことになる。
「あいつ」はこちらがどんな状況であろうと容赦なく攻撃を仕掛けてくる。
仕事で重要なタスクを任された時、友達と温泉旅行に遊びにいこうと話が盛り上がっている時。そんな幸せな瞬間であろうとも、忍び込んで攻撃してくる。
なので、私は世界で一番「あいつ」に対して激怒している。
「あいつ」は己の役目を果たすためにやっているのであって、悪気がないのは分かっている。だが、宿主の状況を鑑みずに肉体・精神に圧をかけるのは話が違うではないか。
この20余年、私は月1でくる「あいつ」との戦いに疲弊している。
昔はお腹が微妙にいたかったが、今はそれにプラスして腰痛や情緒不安定などが生理前にやってくるというクソ仕様に変わってしまった。
「あいつ」はきっと職務に真面目なタイプなのだろう。その職務のせいで、どれだけ私が辛い目にあっているのかもしれずに、「では本月の仕事は終了しましたので失礼いたします」と次の担当者へ引き継ぐのだろう。
腹立たしい。
だが私も負けてばかりではいられない。
それなりに対策を取らせてもらっている。
まずは低用量ピルで生理周期を完全にコントロールすること。これによってある程度の目安が立てられて、温泉旅行を計画しやすくなったり、感情の波をある程度予測することができるのだ。
文明の利器には感謝せねばならない。
次に行うは圧倒的栄養素の吸収と軽い運動である。
自分が辛くならない範囲で行うことで、「あいつ」からの攻撃を一時的に防ぐことはできる。
私の戦いは経血が流れてしまえば終了だ。
初日は痛くて貧血のせいかフラフラして歩けないが、それ以降はまるで天使のように体が軽くなったかのようになる。
ざまあみろ、あの野郎めと中指を立てながら、私は次の戦に迎えて準備をしている。
今月後半に来るであろう「あいつ」。
恐らくありとあらゆる手を用いて攻撃をしてくるだろうが、そうはいくものか。
何十年お前と戦い続けていると思う。
私の月1戦争は、まだまだ終わらない。
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