友達/雪奈視点 俺は負けヒロインとゴールインする!/最近彼の様子がおかしい
俺は沖坂柊斗。突然だが俺はどうやら転生したらしい。トラックに轢かれて気づいたら学園の授業を受けていた。
最初は驚きのあまり挙動不審になって先生に怒られたが名前を呼ばれた瞬間この世界は俺が何度も読んだハーレム系のラノベだということが分かった。
主人公ではなかったことは残念だけど俺にはヒロインがいる!
そう、あの生徒会長、白崎雪奈。
実家は金持ち、おまけにボッキュッボンのスタイルの良さ、小鳥までにも優しい人が俺の嫁になる。
確か、今はあいつと付き合ってるんだけど雪奈の方から振って破局する。テストが終わって2週間後とかかな。
ざまぁみろ。お前が冷たくしてた雪奈は俺の物だ!
そう思って度々あいつを煽ってたらついに嫌気が差したのか口を聞いてくれなくなった。
どうせ別れることは確定事項なのだから事が終わるのを待ってればいい。
でもその後が問題だ。
主人公…小野寺咲真。こいつが別れて元気のない雪奈と仲良くなって、それを見ていた海人が拗らせて雪奈を襲おうとするのを俺とざまぁする。
いい事を思いついた。俺だけで海人をざまぁすればいい。
そもそも主人公は運良く俺と帰っててたまたま海人を見つけたからついて行ったらたまたま現場を抑えただけだ。
咲真には適当なこと言ってその日は別ルートで帰らせて、俺一人で海人を対処すれば…
咲真の負けヒロインなんかにならず、そのまま俺の正ヒロインになる!
「めちゃくちゃ良い案だ…。楽しくなってきた!」
早く、やってこないかな〜♪
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「はぁ〜疲れた」
「お疲れ様ですお嬢様」
「毎日大変。学校の後は生徒会に、勉強を教えたり。家に帰ったら取引の確認、書類整理。お父さんも高校生の私に仕事を任せすぎよ」
「それは、社長の期待があっての事だと思いますが」
「まぁいいんだけどね」
爺とそんな会話をしながら最近のことを振り返る。
1つは海人との関わりが減ったこと。
この前までは明らかに冷たい態度だった海人がちょっと雰囲気が変わったかと思えば
《あのさ、俺たち無理に一緒に登下校するのやめない?》
意外だった。でもあの時の表情がもっと印象的だった。色んな大人が擦り寄ってきたこともあってある程度の感情は汲み取れるようになったけど、嘘、諦め、が見え透いていた。意味がわからなかった。
もう嫌われてると思っていた。なんなら私の実家の立場だったりを気にして別れづらいと感じるなら海人のためにも私から振ろうとした。
高校から海人は変わった。何でもできる私と比較されて陰口まで言われてるところを見てしまった。もちろんその人達に注意をして彼を励ましたけど、彼の心には深い傷になってしまったと思う。
だから冷たい態度を取られてもしょうがないと思った。それで気持ちが楽になるならいくらでも受け入れようと思った。
なら何で嘘をついたのか。考えれば考えるだけ分からなかった。すれ違った時も私との間に大きな壁があるように感じた。
「海人さんのことですか?」
「なんで分かったの?」
「顔に書いてあります」
「それで、彼の報告聞いてなかったよね」
「はい。お嬢様と登下校を辞めた翌日から、彼は図書館に通っているようですね」
「図書館?」
「いつも閉館時間までいるみたいですよ。今回も赤点だったらまずいと思って勉強しているのでは?」
1年の頃陰口で周りがバカにしてきてから彼は私が勉強を教えてないと赤点ばっかり取っていたのに…
「それと…」
「まだ何かあるの?」
「いえ、これは些細なことですので…」
「どんな情報でもいいから教えて」
「送られてきた写真を見る限り、少し疲れていそうですね。まるで寝られていなさそうな」
「なるほどね…」
1回ちゃんと話を聞かないと。海人の気持ちを知りたい。
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