第3話主人公と図書館でお勉強!?
授業も終わり、帰る準備をして予定通り雪奈が俺の所に来ることもなく1人、教室を出た。
「雪奈先輩〜生徒会終わるまで待ってるのでその後一緒に勉強しませんか?教えて欲しいところあるんです」
「ダメ!今日は私が教えてもらうの!後輩なんだから雪奈と同じ先輩の私に譲りなさい?」
「嫌で〜す」
そんな会話が廊下の後ろの方から聞こえてくる。
「…」
振り返ったのがいけなかった。たまたま雪奈と目が合ってしまった。
すかさず目を逸らしさっさと歩いた。
「はぁ〜よりによって1週間後テストかよ」
テスト期間なので入っているサークルともいえるゆるーいバレー部の練習はない。
「図書館でも行くか」
どうせならテストで少しでもいい点数を取りたい。しかもこの世界の海人は歴史を選択しているから前世で覚えるのが苦手な俺が混じっているからハードになってしまっている。
そう思いながら図書館に向かうと
「あ!海人!」
「咲真」
会ったらいけない人物に会ってしまった。
小野寺咲真。この世界の主人公。つまり、俺をざまぁする人だ。
「海人も図書館でお勉強?」
「そうだよ」
「なら一緒に勉強しようよ!」
と咲真の押しに負け一緒に勉強することになった。
咲真とは1年生の頃同じクラスで仲が良かった。咲真はサッカー部のキャプテンだから当然、スペックは最強だ。
そりゃあハーレム作れるわ。
「分かんない…」
と歴史の問題にボヤいていると
「そこは…」
と教えてくれるかなり良い奴だ。
しかも覚え方までもアドバイスしてくれた。
最初は楽しさを全く感じなかったが徐々に楽しく感じてきた。
「うわ!もうこんな時間!今日これから予定があるんだった!」
「いろいろ教えてくれてありがとう咲真」
「ああ!海人今回は赤点取るなよ!バイバイ!」
と嵐のごとく去っていった。
雪奈と仲良くなる前だから今は幼なじみとイチャイチャしてるんだっけ。羨ましい奴だ。
咲真のおかげで歴史の楽しさにのめり込み気づいたら閉館時間になっていた。
「図書館いいな…」
めちゃくちゃ集中できた。これから1週間図書館に通おうと誓った。
家に帰って今日起きたことを振り返る。
「さらに好感度下げてるよな…」
これから一緒に登下校することもなくなってしまった。もう好感度を上げる術はほとんどない。デートを誘おうにも雪奈忙しいし、どうせ断られるに決まってる…
「嫌だな…別れるの」
気づいたら涙が頬を伝っていた。
もっと早く前世を思い出していたらこんなことにならずに済んだかもしれない。
でも、付き合ったままでもこの先好きでいてくれている保証はどこにもない。
そう考えると心が苦しかった。
転生して早々、1人じゃあどうしようも出来ない、誰にも相談も出来ない孤独を感じた。
翌朝、色々考えた結果1つの結論に結びついた。
「原作より早く振ろう」
わざわざ原作に沿って別れるタイミングを待つというのがしんどくなってきた。
推しというか好きな人が自分のせいで気をつかったりしているのをもう見たくなかった。
雪奈には他の誰かと幸せになって欲しい。
原作のように拗らせて襲ったりする気もないし、主人公に嫌がらせをする気もない。むしろ仲のいいままでいたい。
そういうことを考えていると原作の強制力は何かしらあるかもしれないけど、めちゃくちゃ考えた結果、とりあえず早めに別れを告げることに行き着いた。
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