第2話 やっぱり推しはスペックが高い

「うん、どうかした?」

「い、いや名前呼ばれるなんて久しぶり…だったから」

名前も呼んでなかったのかよ俺…。と昨日までの俺をボロクソに言う。


白崎雪奈(しろさき ゆきな)。頭脳明晰、運動神経抜群、誰にでも分け隔てなく接する小鳥にまで優しい人とファンの間では言われていた。実際「綺麗」という言葉がぴったり当てはまる。

海人とは小学校から小中高と同じで、中学の卒業式に海人から告白して付き合い出した。


最近の俺はギリギリで受かった高校の勉強についていくのに必死なのに対して何でも出来る雪奈をひがんで、気づいたら冷たい態度しか取らないクズになってしまっていた。

後、身長が俺よりちょっと高いことをコンプレックスに持っていたせいでもあるらしい。


俺がチビなのがいけないだけなのにな。


「今日は授業後、生徒会があるから一緒に帰れない」

「そっか、俺一人で帰る」

「うん、ごめんね…」

気まずい。せっかくの推しとの登校なのに。

しかもごめんとか言わせてるぞ…

今までの行いをこっちが土下座して謝りたいくらいだ。でもそんなことしたら逆に裏があると思われるから迂闊なまねはできない。


だから精々絞り出した提案は…

「あのさ、俺たち無理に一緒に登下校するのやめない?」

「え…?どうして…?」

「だって、雪奈がわざわざ毎日俺に時間合わせないといけないし、それに歩くの疲れるでしょ?雪奈なら秘書の人に毎日車で送迎してもらえるだろうしさ」

「分かった。じゃあそうするね」


雪奈はお嬢様だったりする。白崎家はこの辺りで知らない人はいないほど有名だ。

そう考えると当然横のつながりのために俺よりできる年上の人何人も会っているだろうから今頃はさっさと別れてその人達と仲良くなりたいと思っているのだろう。


「学校着いちゃったね」

「ああ、それじゃあ俺はこっちだから」

「じゃあね」

嫌なことを考えていた俺は不機嫌っぽい別れ方をしてしまった。

この後1、2時間目あたりまではこのことを死ぬほど後悔した。


昼休みになると

「おーい、お前生きてるか?」

「生きてるよ」

「しっかりしろよ。生徒会長様の彼氏がこんなんだと女子達から報告されるぞ?」

こいつは沖坂柊斗。高校から仲のいい友達だ。でも主人公と一緒にざまぁして最終的には雪奈とゴールインする奴だ。


「お前、最近生徒会長様と仲良くないのか?」

「どうして?」

「だって、どう見ても朝の登校仲悪そうだったじゃん」

「見られてたのか」

「もしかして、好きじゃなくなったとか?」

「それは…」

言葉に詰まっていると

「それなら生徒会長様に今アタックしたらワンチャンあるかな?」

と俺の事を見ながら言う。


少し、いや結構今日の柊斗はうざく感じた。

気が立っていたのもあるのか俺はそいつと話すのはやめて、他の友達の所に行ってゲームの話で盛り上がった。









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