夢の街、西安 (一)

前の話で「旅で思いを馳せる」ということを書いたので、せっかくだから私の一番行ってみたい街、西安について書きたいと思う。

単に西安について述べてみてもあまり面白くないので、旅をしているかのような感じで西安を語っていこうと思う。

まず西安と一口に言っても、知らない人も多数いるだろう。

中国の陝西省に位置している、人口千三百万人の大都市である。

古くは長安とも呼ばれ、社会科や日本史の授業などで名前を聞いたことのある人も多いのではないだろうか。

ということで、西安を旅していこう。


まずどういう風に西安まで行くかである。一つは空港で西安咸陽せいあんかんよう国際空港まで直接入る方法で、二つ目は上海まで飛行機で行った後に、上海虹橋しゃんはいこうきょう駅から西安まで高速鉄道で行くという方法である

(本当はこの上の部分を割愛するか悩んだが、色々考えるあまり載せてしまった。とりあえず、前者で越境したものとする)。


雲間から見える黄土色の大地と、激しく輝くビル群が見えて来たら、そこはもう西安上空だった。

私はフライトマップで中国の上に機体があることを確かめながら、悠久の大地の上にいる事を確かに実感した。

シートベルトを着用してだんだんと地上に近づいていき、ガタンという振動の後、私は西安の地に降り立った。

西安の空港は夜中でも人が多く、深夜の中国国内便に搭乗する人で賑わっていた。

空港から西安の中心部までは四十キロメートルくらい離れているから、とりあえず市内まで移動したい。

深夜に着いたものだから、地下鉄もシャトルバスも運行していなかったので、タクシーを呼んで移動することにした。

中国は日本に比べてタクシーの価格が安いので、四十キロといっても、百二十元から百五十元(日本円で大体二千五百円くらい)で移動できる。

空港にもホテルはあるので、そこで過ごすのも手だったが、中心部の方のホテルの方が翌日の移動に便利だと思ったので、鐘楼(西安の中心部)の近くにホテルを取った。

タクシーの運転手に連れられて一時間弱すると、西安君楽城堡酒店しーあんぐらんどほてるに到着した。

時刻は午前三時だったが、フロントの係員が丁寧に応対してくれ、片言の私の中国語でも精一杯尽くしてくれたことが何よりの安堵である。

部屋に入ると西安の夜景が綺麗に見え……と言いたいところだが、そんな街の美しさなんて見る余裕もなく、空港のコンビニで買ったスナックとカップラーメンを食べると、シャワーを軽く済ませて寝てしまった。


余談だが、酒店がホテルという意味になるなど、中国語と日本語の間には双方の間で意味が違う単語がいくつかある。酒店の他にも、手紙が中国語だとトイレットペーパーという意味になるなど、不思議なものである。

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透明なコップ 太田直 @ootasunao

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