転生したら

「生まれ変わったら何になりたいか」という質問はかなりベタである。大抵の人たちは人間とかネコとかイヌとかを挙げる。私もその大抵の人たちと同じように、生まれ変わっても人間でありたいと思うのだ。そして、「どういう人間になりたいか」と問われると、湧き出るように色々なことを考え出すから、ここにはその湧き出た考えを記しておこうと思う。

まず、お金持ちに生まれたいかということを私は考える。確かにお金持ちの暮らしは楽しそうだ。インスタグラムなんかで五つほど動画をスクロールすれば、ドバイのリッチな暮らしや、南アジアのよく分からないリゾートで泳いでいるセレブや、世間一般の“港区女子”なんかを見ることができる(私だけなのかもしれないが)。

事実を挙げていくならば、彼らには大金があって(それも一生では使い切れないほどの)、たくさんの高級車があって、多くのフォロワーがいる。これは貧困に喘ぐ人たちや、中流階級の人たちはいくら努力しても得られない可能性の高いものであろう。しかし、彼らには彼らなりの苦難があるのかもしれない。

例えば、ある程度の誹謗中傷に晒される。「その金を慈善に回せ!」とか、「労働者から搾り取った汚い金だ!」とか。私自身、ジョン・レノンのイマジンが好きだけれど、さすがに現実にその歌詞が実現するとは思わないからそんなに批判はしない。こういった批判を日々浴び続けるのは辛いことだろうと心底思うが、そこは彼らのプライドと、セレブに至るまでのハングリー精神がカバーしているのかもしれない。本当に辛いのならSNSなんてやめてしまえばいいわけだから。

と言うわけで、私にはこういったメンタルを壊しかねない要因がある気がしてならないから、「お金がある=人生が充実している」と思うことはやめにした(貧乏人の妬みだ!と言われてしまえばそこまでだが…)。

幸せを考えたら、必ずしもお金持ちに生まれたいとは思わないのである。お金がなくても幸せそうな人たちは世界中にたくさんいる。例えば、アフリカの少数民族(それもメディアには一切出ないような人々)の暮らしは幸せそうである。比較されることもなく、皆が家族として支え合って生活し、SNSなどのメディアに触れずに暮らす。

今の日本人がその場に溶け込めるかと問われれば、大多数がノーであると思うが、生まれ変わるのならばそういう土地に生まれてみたいとも思う。

しかし、歴史好きの私からすると、劉備玄徳に生まれ変わって、縦横無尽に中原を駆け回ってみたいとか、フランスに行ってみたい私からすると、アルザスのワイン農家に生まれて、スローライフを楽しんでみたいとか、色々な理想が出て来てやまない。

無論、日本に生まれた私は、劉備玄徳に生まれることも、アルザス地方でワイン農家として生活することも、アフリカの少数民族と家族同然に接してもらうことも叶わないのだが、その場所を訪ねて思いを馳せることはできる。

涿州たくしゅう(河北省涿州市で劉備の故郷。ほとんどの人は知らないだろう…)を訪れて、「彼はここの門を駆け抜けて、この辺りで桃園の誓いをして…」などと思いを馳せるわけだ。

それってとても素敵なことだと私は思う。私にとっての生きる意味の一つなのかもしれない。

元々、「来世はどういう人間になりたいのか」という問いだったのに、かなり二転三転してしまった。

とりあえず、アフリカのマサイ族に生まれ、観光客向けツアーでそこそこお金を貰いつつ、幸せな集団生活を送りたい、というのを来世の私の理想として記しておく。

みなさんも来世はどういう人間になりたいのか考えてみてはいかがだろうか。

「来世も自分に生まれ変わりたい!」なんていう、まるでポジティブの塊かつ、そんな快活な人が居るとしたら会ってみたいものだ。

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