力を蓄え鉄で殴る準備
【鬼ヶ島】との国交樹立から三日程経ち、遂に鉄を作る為の高炉が完成したと伝達が入った。
思ってたよりずっと早く完成してて当時は驚いたが、どうやら足りない部分は魔法で補ったりして急ピッチで作らせたらしい。
完成というか試作品が出来ただけなんだが、それでも鉄は作れるようになっている。
だから、こっちでも交易で使えそうな特産品が無いかと探していると……。
「「「〈成長〉!!」」」
雪の妖精達が聞き馴染みの無い魔法を使って植物を急成長させていた所を目についた。
その植物の果実はどっからどう見てもリンゴにしか見えなくて目を擦ったが、何度見てもリンゴだった。
「おっ、やっと来たな」
「リンゴを育てるなんて凄いな!!」
最近まで適当な木の実以外のマトモな果実見れて無かったからか、少し感度してしまったようだ。
「実はこれ実家からリンゴの種持ってきたんだよ」
「え、お前追放されてなかったっけ」
「そもそも国の離れに住んでるから人目は付かないさ!!」
無茶苦茶ザルやんけその国の警備。
パンツ一丁の変態とか見たら速攻でバレそうなものだけどな……潜入するにはインパクトがデカすぎると思うが。
「そういえば、聞いてなかったんだけどさ。お前が元居た国ってどんな名前の国なの? いつかは接触するかもだから、どんな感じになってるかは知っておきたいんだよな」
「良くぞ聞いてくれた、私が元居た国の名は【魔導帝国】という!!」
いかにも魔法使ってそうな国だな。
魔法が発展しまくってるんだったら、魔法使いの軍団とか居そうだな〜もし相対したらどう戦おうか……。
「【魔導帝国】はトグ君も聞いての通り魔法による技術力と人口の多さが魅力だな。だからこそ、他の国はいかに【魔導帝国】に対抗できるかを重視してるんだ」
「あ〜ポジション的には元とかイギリスとかアメリカとかの大国って訳だ」
人口が多いって事は人海戦術とかしてきそうで怖いな。
戦争において数は大正義だからな〜こっちはまだ〈吹雪〉というマップ兵器があるから対抗出来るとは言え、正面からの激突なんてしたら数の暴力で圧倒されるだろうな。
「だけど【魔導帝国】は北に進軍する気は無い。だから、今は力を蓄えるべきだ」
「何故そう言える?」
「理由は三つ。まず【魔導帝国】は敵を作り過ぎたから北にまで人員を派遣出来ない。次に北が過酷過ぎて誰も行こうと思わない。最後にそもそもここに国家があるなんて気づいてない」
なるほど、【魔導帝国】は大国であるが故に割とカツカツで忙しいんだな。
それに俺達には〈吹雪〉、山岳地帯、イエティの天然の城壁があるから、無駄に焦る必要も無い。
「力を蓄えるのは賛成だ。彼らが手間取ってる内に鉄の導入を済ませ兵力を整えるとしようじゃないか」
「うん? 待ってくれ、
そのくだりは少し前にやったばかりだぜ変態。
「やっぱり、まだ鉄は貴重なんだな」
「そりゃあ、そうだよ。皆銅製品じゃ満足できなくなって、血眼になって鉄を探し回って――――」
(鉄鉱石を見せびらかす)
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
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