第3話 冷蔵庫《水宮視点》

 とりあえず冷蔵庫を物色してみる。まずはベーコン…がないならウインナーと思っていたが封の空いたものの中には二、三本しか残っていなかった。

露坂は構わないだろうが、俺は肉が食いたい、というか弁当にタンパク質のおかずを入れるのは結構面倒臭い。仕方がない、細めのソーセージらしきものでも入れておくか…

 野菜室を思いきり開けて見る。白菜がある。が、こう大きいものをたかだかスープの具材の為に刻むのは何故か勇気がいる。しかし、重要なのはスープに白菜を入れることではなく、野菜を入れることである。万能野菜『人参×玉ねぎ』でも入れればOKなのである。


食材を集めている最中、俺は何かに怯えていた。それは、新しく封を開けたこと、白菜を使うこと自体に怯えていたのではなく、それをしたことで不利益が生じてしまうことを恐れていたのだろう。この心が、日本人の行動力を制限しているに違いない。

ということを露坂に話すと、「そうですね、日本人って結構臆病です。でもそれは治すべきでも、治さないべきでもあるんですね。」と言った。

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