2 day ①



朝日が海を照らし、2日目のスタートを告げた。みんなが集まると、司会者が次のルールを発表する。


「今日はペア行動をしてもらいます!ペアは、昨日の1対1デートで一緒だった相手とは別の人を選んでください。」


このルールに、参加者たちはざわめいた。


(つまり、新しい相手との時間が増えるってこと…?)


真央は胸がざわついた。昨日のデートで啓介とは自然に話せた。でも、蒼空とフリータイムで話したときの、あの不思議な気持ちが忘れられない。


「じゃあ、男子から指名してください!」


男子たちが順番に動き出す。


翔太郎「真央、一緒に行かない?」

貴之「梨々香と行きたい。」

リュウヤ「美琴、一緒にどう?」

啓介「俺はさくらで。」

蒼空「カエデと行くよ。」


こうして、新たなペアが決まった。


(そらくん、カエデちゃんとなんだ…。)


真央は少し残念な気持ちを抱えながらも、翔太郎と視線を交わした。


「よろしくね、翔太郎くん。」


「おう!今日はめっちゃ楽しもうな!」


翔太郎の明るさに、自然と笑みがこぼれた。



---


ペア行動スタート


翔太郎×真央:遊園地デート


二人が向かったのは遊園地。翔太郎が積極的にリードし、「せっかくだし、絶叫系乗ろう!」と提案する。


「え、私、ちょっと怖いかも…。」


「大丈夫、俺がいるから!」


強引に連れて行かれたジェットコースター。落ちる瞬間、思わず翔太郎の腕をぎゅっと掴んでしまった。


「ははっ、意外と甘えんぼ?」


「ち、違うよ!怖かっただけ!」


翔太郎は笑いながら、「そっかそっか」と茶化す。でも、翔太郎のリードのおかげで、真央は少しずつ緊張を解いていった。


観覧車に乗る頃には、自然に会話が弾んでいた。


「俺、最初から真央のこと気になってたんだよね。」


「え…?」


「いや、なんか落ち着くっていうか。ちゃんと自分の気持ちを大事にするタイプで、そういうところがいいなって思ってた。」


真央は驚きつつも、少し照れくさくなった。


「ありがとう…でも、私、まだ誰が好きなのか自分でもわからなくて。」


「そっか。でも、こうやって一緒にいる時間が増えたら、何かわかるかもしれないよ?」


翔太郎は優しく笑った。真央は彼の明るさに安心しながらも、心のどこかで別の人のことが浮かんでしまう自分に気づいていた。


(この気持ちは、どうすればいいんだろう…。)



---


蒼空×カエデ:大人っぽいカフェデート


「そらくんって、クールに見えるけど、意外と話しやすいよね。」


「そう?」


「うん。昨日のデート相手の美琴ちゃんとは、どうだったの?」


「…悪くはなかったけど、合うかどうかはまだわからない。」


「ふーん。」


カエデは意味深に微笑んだ。


「じゃあ、私との相性はどう?」


蒼空は少し考えてから、「…まだわからない」と答えた。


カエデは冗談めかして「つれないなぁ」と言いながらも、蒼空の表情をじっと見つめた。


(そらくんって、こういう時、本当に本音を言わないんだよね。)


カエデは、蒼空の心の奥を知りたくなった。



---


啓介×さくら:のんびり散策デート


「こういう静かなデート、落ち着くね。」


「そうだね。」


啓介とさくらは、静かな湖のほとりを散策していた。


「昨日、真央ちゃんとデートしてたでしょ?どうだった?」


「話しやすかったし、すごくいい子だなって思った。」


「そっか。」


さくらは少しだけ寂しそうに微笑んだ。


「ねえ、啓介くんは、今気になる人いるの?」


啓介は少し考えてから、「…まだはっきりとはわからないかな」と答えた。


(真央のこと、やっぱり気になってるのかな。)


さくらは胸の奥が少しチクリと痛むのを感じながらも、笑顔で「そっか」と返した。



---


夕暮れ、交差する想い


それぞれのペア行動を終え、夕暮れのビーチで全員が再び集合した。


「どうだった?ペア行動、楽しかった?」


司会者の質問に、みんなが「楽しかった!」と答えながらも、どこか複雑な表情を浮かべていた。


真央はふと蒼空の姿を探してしまう。しかし、蒼空はカエデと話していて、その距離は少し近く感じられた。


(…そらくん、カエデちゃんと楽しそう。)


その様子を見て、真央の胸の奥がモヤモヤする。


(なんで、こんな気持ちになるんだろう。)


一方で、翔太郎が真央を見つめていた。


(俺じゃなくて、そらの方を見てる…?)


夜が深まるにつれ、それぞれの想いはさらに交錯していく。

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