2 day ②
焚き火がゆらゆらと揺れ、参加者たちの顔を照らしていた。2日目も終盤。夜風が心地よく吹き、火のはぜる音が静かな緊張感を生む。
「今夜はキャンプファイヤーを楽しんだ後、フリータイムを設けます!そして、明日の最終告白を決める時間です。」
司会者の言葉に、みんなの表情が一瞬引き締まる。
「最終告白…もう決めなきゃいけないんだ。」
梨々香が小さくつぶやくと、リュウヤが軽く肩をすくめた。
「まだ決められないやつもいるっしょ?」
「そうだね…。」
真央もまた、誰を選ぶのかまだ迷っていた。翔太郎とのペア行動は楽しかった。でも、蒼空のことを考えると心が落ち着かなくなる。
そんな気持ちを整理できないまま、キャンプファイヤーが始まった。
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啓介の本音
焚き火の周りでみんなが自由に話していると、真央はそっと立ち上がり、一人で少し離れた場所へ歩いた。
(少し静かなところで考えたい…。)
そんなとき、後ろから声をかけられた。
「真央、ちょっといい?」
振り向くと、啓介が立っていた。
「あ、啓介くん…。」
「少し、話せる?」
真央は頷き、二人で焚き火から離れたベンチに座った。
「…今日のペア行動、どうだった?」
「うん、楽しかったよ。翔太郎くんって明るくて、引っ張ってくれるし。」
「そっか。」
啓介は少し笑いながらも、どこか寂しそうだった。
「俺さ、最初から真央のこといいなって思ってたんだよね。」
「えっ…?」
突然の言葉に、真央は驚いた。
「でも、真央は今、迷ってるよね?」
「……うん。」
自分の気持ちが曖昧なことを見抜かれていて、胸が締めつけられる。
「俺は、明日ちゃんと自分の気持ちを伝えようと思ってる。」
「……。」
「だから、真央も無理に答えを出そうとしなくていい。でも、ちゃんと自分の気持ちを大事にしてほしい。」
真央は黙って頷いた。啓介は、優しくて誠実で、何よりも安心できる存在。でも、今の自分の気持ちは、どこか違う方向を向いている気がした。
そんなことを考えていると、「じゃ、また後でな」と啓介は笑い、焚き火の方へ戻っていった。
(どうしよう…。)
ますます、自分の気持ちがわからなくなる。
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蒼空との会話
真央が考え込んでいると、別の足音が聞こえてきた。
「ここにいたんだ。」
声の主は、蒼空だった。
「…うん。」
蒼空は隣に座ると、しばらく何も言わずに焚き火の方を見つめた。
「今日のペア行動、カエデちゃんとどうだった?」
「別に普通。」
「そっか。」
会話が続かない。何を話せばいいのかわからない。でも、不思議と気まずくはなかった。
「…そらくんは、誰が気になってるの?」
真央が思い切って聞くと、蒼空は少しだけ視線を落とした。
「…まだ、はっきりはしてない。」
それは、"誰かのことを気にしている" という意味にも取れる。
「真央は?」
「え…?」
「誰が、一番気になってる?」
その質問に、真央は言葉を詰まらせた。翔太郎、啓介、蒼空——。考えれば考えるほど、わからなくなってしまう。
「……正直、自分でもわからない。」
蒼空は少しだけ微笑んだ。
「そっか。」
その一言が、なぜか真央の胸に響いた。
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それぞれの想い
その頃、翔太郎はさくらと話していた。
「翔太郎、明日どうするの?」
「俺はもう決めてるよ。」
「真央ちゃん?」
「うん。でも、たぶん、そらも気になってるんだろうな。」
翔太郎は遠くを見つめながら言った。
「それでも、俺はちゃんと気持ちを伝える。」
さくらは翔太郎の横顔を見ながら、少し寂しそうに微笑んだ。
「翔太郎は、ちゃんと真っ直ぐだから、きっと伝わるよ。」
「ありがとな。」
さくらは、翔太郎を応援するつもりだった。でも、どこか心の奥で、寂しさが広がっていくのを感じていた。
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夜が更けて
フリータイムが終わり、全員が部屋に戻る時間になった。
ベッドの上で、真央は何度も考えた。
翔太郎といると楽しい。でも、蒼空のことを考えると、心が落ち着かない。
啓介は、安心できる存在。でも、それが"恋"なのかはわからない。
(私、誰が好きなの…?)
まだ答えは見つからないまま、最終日の朝がやってくる。
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