1 day ③
午後のデート相手を決める時間がやってきた。司会者がルールを説明する。
「これから男子が一人ずつ、今日の1対1デートの相手を選びます!順番はくじ引きで決めますね。」
男子たちはくじを引き、それぞれの順番が決まった。
「じゃあ、最初は……翔太郎!」
翔太郎は満面の笑みを浮かべながら、周囲を見渡す。そして、軽く息を吸い込んだ後、はっきりとした声で言った。
「俺は……さくらを誘いたい!」
さくらは驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうに笑い、「よろしくね!」と答えた。二人はすでにいい雰囲気で、周りからも「お似合いじゃん!」と声が上がる。
次は貴之の番。彼は少し緊張した面持ちで、ゆっくりと口を開いた。
「カエデと行きたいです。」
カエデは「わ、嬉しい!」と弾むような声で応え、周りから「貴之、やるじゃん!」という声が飛んだ。
続いてリュウヤ。彼はいたずらっぽく微笑みながら、「俺は梨々香と行きたいな!」と宣言した。梨々香は少し驚きながらも「よろしくお願いします」と小さく頷いた。
そして、4番目は啓介。
「俺は……真央と行きたい。」
真央は驚きながらも、「うん、よろしく」と答えた。さっきのビーチでの会話が心地よかったのもあって、啓介と過ごす時間には安心感があった。
最後に残ったのは蒼空と美琴。必然的に二人のペアが決まり、美琴は「ま、仕方ないね」とクールに微笑んだ。
こうして、それぞれのペアが決まり、1対1デートがスタートした。
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真央と啓介は、静かなカフェでデートをすることになった。
「ここ、雰囲気いいね。」
カフェに入ると、木の温もりが感じられるナチュラルな内装が広がっていた。窓際の席に座り、メニューを開く。
「真央は甘いの好き?」
「うん、けっこう好きかも。ケーキもあるし、食べようかな。」
「じゃあ、俺も合わせるよ。」
啓介は迷わず同じメニューを頼み、店員が去ると、ゆったりとした空気が流れた。
「改めてだけど、こういう恋愛リアリティショーに出るの、緊張しなかった?」
「めっちゃ緊張したよ。でも、せっかく来たし、ちゃんと楽しもうと思って。」
「そっか。俺も正直、最初はどうなるか不安だったけど、意外とみんなと話せて楽しいなって思えてきた。」
啓介の優しい笑顔に、真央はふと心が和らぐのを感じた。自然と会話が弾み、気づけば時間があっという間に過ぎていく。
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一方、蒼空と美琴のデートは、クルーズ船でのんびりと海を眺めるコースだった。
「静かだね。」
「うん。」
二人とも口数は少なかったが、不思議と気まずさは感じなかった。波の音を聞きながら、美琴がふと口を開いた。
「正直、最初に話した時、ちょっとクールすぎるかなって思ったけど……実際はどうなの?」
「んー……別に冷たいわけじゃないよ。ただ、こういう場では無理に話すより、自然なタイミングで話したいって思うだけ。」
「なるほどね。意外と考えてるんだ?」
美琴はくすっと笑い、蒼空は「まあね」と小さく答えた。ゆっくりと距離を縮めるような、そんなデートだった。
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翔太郎とさくらのデートは、水族館だった。
「見て!クラゲめっちゃ綺麗!」
「ほんとだ、すごい……」
翔太郎はそんなさくらを優しく見つめながら、思い切って聞いた。
「さくらは、どんな人がタイプなの?」
「えー?そうだなぁ……一緒にいて楽しい人かな!」
「じゃあ俺、候補に入る?」
「んー、どうだろ?まだわかんない!」
さくらはいたずらっぽく笑い、翔太郎は「くぅー、頑張るしかないな!」とおどけてみせた。
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カエデと貴之は、街中のオシャレなスポットを巡るデート。
「貴之って、おしゃれなとこ好き?」
「そんなに詳しくないけど、こういう雰囲気は嫌いじゃないかな。」
「じゃあ、デートっぽくていいね!」
貴之は少し照れくさそうにしながらも、「そうだね」と返した。最初はぎこちなかった二人だが、カエデの明るさのおかげで、徐々に打ち解けていった。
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リュウヤと梨々香は、手作り体験ができるカフェでおそろいのアクセサリー作りをすることに。
「え、意外と器用じゃん!」
「でしょ?細かい作業、実は得意なんだよね。」
リュウヤの意外な一面に、梨々香は少し驚きながらも、「なんかギャップあるね」と微笑んだ。
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夜になり、全員が集合。
「1対1デート、どうだった?」
みんながそれぞれの感想を話しながら、少しずつ恋の矢印が動き始めていた。
しかし、その裏では誰かの心が揺れ始めていた。
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