第14夜

義美に刺された充江は崩れるように倒れ、義美が後ろから支えるようにして抱き抱えた。

「ごめんなさい、充江・・・。」

「いいの・・・何故か、そんな気がしてた。義美、あなたも紅一夜に・・・。」

義美の頬を充江は力無く撫でた。

「最期は義美にこうされたらいいなって・・・そう、思っていたの。ごめんね。」

「充江、愛していたわ。」

義美の言葉に充江は目を大きく開き、涙を零した。

「義美の一番になりたかった・・・今だけでも、そうなれて私、しあわせ・・・。」

そう言って充江の手はだらんと地面に落ちた。



「義美さん、まさかあなたが・・・!」

千秋の言葉に、義美は充江を優しく地面に横たわらせ、立ち上がった。

「千秋には分かられていたのね。私も紅一夜になってしまった事。」

「杏さんや充江さんを巻き込んで私の事を狙わせたり、小梅の事を狙わせたりするのは示唆する可能性がある人は1人しか思い浮かばなかった。でも・・・そう考えたくなかった。義美さんは私にとって尊敬の存在だったから。」

義美は息をつき、悲しげに小梅の方を見た。

「千秋があの団子屋で、私には見せない眼差しであの子を見ていのを見て・・・勝てないなと思ったの。本当に千秋が大事にしたいんだなって、そんな目で見つめていた。でも、私も紅一夜になった子達と一緒。それでも、千秋の一番になりたかったのよ。」

「義美さん・・・。」

「私が全ての責任を背負うわ。充江のやった罪も、杏がやった罪も全て。これで紅一夜は居なくなる。」

義美はそう言うと、自分が刺した刃と充江が持っていた刃を手に取った。

全てを悟った千秋はみるみるうちに顔を青ざめていき、叫んだ。

「義美さん!ダメです!」

「・・・千秋、愛していたわ。」


義美は満足気に微笑んだ瞬間、体は血しぶきに塗れ、着物が赤に染まっていき充江に重なるように倒れた。

「いやああああ!」

千秋が後ろを振り向くと、小梅が耳を塞ぎ込むように泣き崩れた。

「小梅!」

千秋は泣き崩れた小梅を抱きしめた。

「千秋、もう、見たくない!見たくないよ!」

「大丈夫。もう終わったのよ、全て。小梅には私がずっと傍に居るから。」

「千秋・・・!」

千秋は取り乱した様に泣き続ける小梅を抱きしめながら、月を見上げた。

満月に満ちた月は、煌々と変わらず千秋達を照らしていた。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る