第5夜

どんどん血が染み込んでいく着物。

血色が無くなっていく肌。

心配させないように浮かべている笑みも力無くなっていく。

血に染まる小梅の姿に千秋の心は取り乱される。

千秋は思った。

「わたしが、私が絶対小梅を守る。」


「千秋・・・・。」

「喋らなくていい。善三さんからきいたわ。まだ傷口が塞がってないらしい。」

そう言いながら千秋は小梅の頬に触れた。

また貧血気味なのか心なしか顔が冷たく感じた。

千秋はもう少し早く現場に着けなかったのかと後悔する様に顔を歪ませた。

「千秋、私大丈夫だよ。だから、そんな顔しないで。」

「大丈夫って、こんな時にまでそんな取り繕わないで。」

千秋が頬を撫でると、小梅は自然とその手に頬を擦り付けた。

「私がもっと早く小梅を見つけていたら・・・。」

「そんな力あったら、凄いね。」

力無く笑う小梅に千秋は心配しつつも心が救われた様な気がした。

「何か入り用があったら、何でも言ってね。」

「千秋・・・私」

小梅が何か言おうとした時、後ろから声がした。


「小梅さん病人なので、少し遠慮してもらっていいですか?」

そこには戸を開けたまま、少し不機嫌な顔をしている穂波が水を入れた盆を持って立っていた。

「ごめんなさいね、勝手に入ってきて。」

「穂波ちゃんごめんね。違うの私が引き止めたから。」


「あなたのせいで小梅さんは紅一夜に・・・!」

穂波は怒りを隠せず、部屋に入っていくと強引に千秋を引き剥がした。

「罪悪感とかないんですか?あなたが人に恨まれらる事した自覚あるとしたら、襲われるかもしれない可能性なんていくらでもあるじゃないですか。」

「それは・・・。」

小梅は頭が働かなかった。

千秋の身代わりに自分が襲われたという事なのか。

「穂波ちゃん、千秋を責めないで。私を助けてくれたのは、千秋だから。」

「だって・・・。」

悔しそうに千秋を睨みつけると、千秋は寂しげに立ち上がった。

「お大事にね。また様子見に来るわ。」

千秋はそう言うと、小梅の方を寂しげに見ながら部屋を出ていった。


「穂波ちゃん・・・・。」

小梅は優しく声かけると穂波は小梅の枕元に盆を置き、正座をして俯いた。

「あの日、偶然なのか小梅とあの人が着てた着物が似てて、紅一夜が間違えて小梅を襲ったんじゃないかって。善三さんが岡っ引きから聞いてて。」

「そっか・・・。」

穂波は小梅の頬に触れた。

「しばらくは千秋さんと関わるのやめた方がいいです。」

「え?」

小梅は目を向けると、穂波が涙を浮かべながら見つめていた。

「見て分かるよ。あの人が来たときの小梅の顔。嬉しそうにしてる。でも、あの人のせいで小梅が襲われたの。」

ぽろぽろと涙をこぼしながら、穂波は小梅に言った。

「私、小梅が居なくなったら、辛いよ。だって私・・・・。」

「穂波ちゃん?」

穂波は優しく小梅の頭を撫でるとまた頬に手を添え、優しく唇を重ねた。













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