第4話 彼は猫です(CATER)/他の人には言えない/山田莱雪

これは体育館の片隅……


「もう、見ちゃったんだなあ」(諦めの口調)


「マジかよ……ここに逃げてきただけで、あんなに簡単に俺の正体を見抜く奴がいるなんて……」(翔太は首をひねった)


(翔太は末を隅に追い詰める)


「あの……何ですか……」


末は無表情の顔に無実を装う(実際、彼は普段から無表情なので特に装う必要もなかった)


「何言ってるんですか?」


「はぁ?」


「もう、分かってんだって。お前が見抜いたこと、知ってる」


「私はとぼけていない、私は本当にあなたが何を言っているのか分からない」


翔太手を顎に当てて少し考えた。


「あのさ……」


(昨日末があんな顔をしたことを思い出した)


「うん? ああ、あんな驚いた顔しないでよ?」


「俺……」


(末也は昨日彼が自分を見たことを思った)


「私は本当に…知らない……」


「もういいよ、忘れてやる。」


(翔太は彼の肩に腕を回した)


「ごめん、さっきは驚かせちゃって。教室に戻ろう。」


「うん……おう……」


「スエちゃん!」(ミライが彼に走り寄る)


……


このことは、どうやらそのまま終わったようだった……


夜、家に帰ると……


「彼……やっぱり見たんだ……」


(昨日の翔太の笑顔がまた頭に浮かんだ)


「どうしよう……秘密にしよう……」


(彼はベッドから急に起き上がった)


バスルームで……


「あ……あ……」


(自分の歯に両手を当てた)


(彼が期待していた尖った歯はなかった)


(彼は翔太と同じ種類の人間だと勘違いしていた)


「うーん……俺は何やってるんだろう……」


彼は鏡の前に歯をいじっている滑稽な自分の姿を見て、珍しく笑い出した。


「ぷっ……」


「えっ?」(信じられない)


(これが、よく言われる「笑う」ということだったんだ)


彼はまた指で口を強制的に曲げて、昨日の翔太のような笑顔を試してみた。


「へへ……」


(馬鹿げていると思ったので、すぐに表情を元に戻した)


「本当に……馬鹿みたい……」


(彼はまた部屋に戻った)


「これは秘密だよね……彼の秘密を守ろう……」(ドアに寄りかかる)


ドン——!


そのとき、彼の部屋のドアが開いた。


「やっぱり……家にいたんだね……」


(ヤマダ・ユリエは手に数枚の紙を握っていた)


(下着だけにジーンズをはいていた)


(世の中のことは一切知らなかった姉)


「お前……何しに来たんだ?」(目を逸らす)


「え~?」(目を細める)


「お前、さっき何してたんだ?」(探りを入れる)


「な……なにもしてない……」(目をさらに逸らし、表情が不自然)


「ユリエ姉ちゃん……お前、俺の部屋に何しに来たんだ?」(顔が赤い)


「ねえ、これ何枚か描いて……」


パタン——


数枚の下絵がスエの手に落ちた。


「本当に……今月は忙しすぎるよ。」(ユリエはタバコに火をつける)


「フ~」


姉は漫画家で、よく同人漫画を描いていた。スエの目から見たら、姉は兄弟の中で一番普通で、彼を差別したことは一度もなかったが、彼と関わったことも一度もなかった。


(今日は初めてだった)


「ねえ、明日渡して。」


そう言って、彼女はタバコを消し、スエの部屋のドアを閉めた。


「うん……わかった……」(まだ下絵の内容を見ている)


(ここで数秒間、静寂が流れる)


「えっ?!」


ここはスエが超無力感を感じた場所……


(彼女は彼に8枚の下絵を渡した)


(今もうすでに夜9時)


(明日に渡すように要求された)


姉の部屋で……


「本当に……お前……文句を言うんだろうね……」(ユリエはタバコを咥えて这样说った)


「待って……彼らに受け入れてもらうよ……」(タバコの煙を吐く)


オレンジ色の光が机に広げられた絵に当たり、白い絵が光を反射してユリエの体に当たり、彼女の本来のコーヒー色の長い髪がさらに輝いて見えた。


ユリエは高校を卒業後、漫画のせいで大学に行く機会を捨て、ずっと部屋に閉じこもっていた。漫画は彼女の後半生のようだ。(人気は悪くない)


次の日の朝……


ドンドンドン——!


「来た来た、本当に……こんなに早く……」


(ユリエは起き上がり、ドアを開ける)


ギィ——


「えっ……お前、昨夜何時まで起きてたんだ……」


(スエの顔色が超悪い)


「三……三時……」(目を細め、クマがくっきりと見える)


「やっぱり……俺のいい弟だね……」(抱きしめる)


ポフ——


(逃げる)


(ドア枠にぶつかる)


ドン——!


「いた……い……!」(額を押さえる)


「なんで逃げるの?!」(涙が出るほど痛い)


「うん……」(理由を編もうとしていた)


抱きしめる——


「えっ……?」


「えっ?!」


(スエが彼女を主動で抱きしめてしまった)


「な……何……?」(少しだけ離れる)


(恥知らずのユリエ姉ちゃんが赤くなった)


「あの……お前が俺を抱きたいって言ったじゃん?」(スエは無邪気な顔をしている)


「うん……実はそうじゃなかった……(可愛すぎるよ、俺の弟めちゃくちゃ可愛い!)」


「あの……」


「へへへ……」(空想中)


「もう……離してもいいよ……?」


「え、うん……おう……!」(惜しそうに離れる)


「ごめん……」(ユリエは頭を下げる)


「俺は行かせてもらえる?」


「うん、どうぞ。」


ドン——


(ドアが静かに閉まる)


静寂——


「めちゃくちゃ可愛いじゃん!!!」(急に立ち上がる)


サッと——!


(箪笥から一束の絵葉書を引っぱり出す)


「インスピレーションが来た、来た!俺の宇宙一可愛い弟を描きたい!」


(絵を描く音……)


スエは部屋に戻る……


「よかった……」


「急に彼女を抱きしめたら、怒ってないかな……」


ポフ——


(ベッドに寝る)


(また翔太のことを思い出した)


「うん……やっぱり彼の秘密を守ろう。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

末と未来物語 第1巻現在編 @ANNAUUU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ