エピローグ

 桜が咲く季節になった。息子の小学校の入学式の日だった。

「じゃあ、撮りますよ。いいですか」

 保育園で仲良くなった息子の友人の父親が私たちに声をかけた。ひとり親の私に気を使ったのか、「記念に撮りますよ」と気を遣ってくれたのだ。

 私の家族は一つの節目を迎えた。ここにはアンドロイドはいない。今頃は家で掃除でもしているのだろうか。アンドロイドは家族ではない。親しみがあるが、どこかで一線を引いてしまっている。

 息子はいつのまにか慣れたのか、アンドロイドにも「行ってきます」という言葉をかけるようになっていた。その言葉に対して、「いってらっしゃいませ」と返すアンドロイドを今朝、見てきたのだ。

 アンドロイドはそんな息子の変化をどう思っているのだろうか。子供に好かれるぐらいには溶け込めていると会社に報告するのだろうか。

 写真を撮られることに息子はすこし落ち着かない様子だ。

「ほら、写真を撮ろう」と言って、息子の両肩に手を置いた。

 そのとき、ふと息子の両肩の位置が腰の高さまであることに気づいた。

 まだまだ小さい子供だが、去年よりだいぶ大きくなったと思う。

 変わっていっているんだな、と漠然と思った。

 そう思ったとき、「いきますよ」の声でフラッシュが光った。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

歯車は回る 迎田 修也 @mukaeda86

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ