第10話 悪魔の脱出芸
路上で警察官に力任せの大道芸を繰り広げるその絵面はあまりにシュールだろう。
「それでは次はこの方につけられている手錠を外して見せましょう! 時におまわりさん、この手錠のカギは一体どこに?」
ビルデはサタンの腕についている手錠を指さして言った。
「あー、そのカギは交番に置いてるな。今持ってないよ」
男はあっけらかんと言った。
「ではこの手錠からの脱出芸をご覧いただきましょう! タララララララ~ン♪」
ビルデはマジックショーでよく使われる音楽を口ずさんだ。人間界に来るにあたり一通りのドラマやテレビ番組を見たビルデにとってこういったベタな雰囲気づくりはさして難しいものではなかった。
ビルデはそのまま口ずさみながらサタンの腕の手錠を隠すように、さっきコンビニで買った白い傘をさす。そして少しの静寂の後ガチャンと金属と金属がちぎれる音がした。ビルデが傘を退けると、おそらくは力づくで取ったであろう手錠がサタンの手に握られていた。
あまりにも不自然な取られ方だったがそこまで大道芸というものを見慣れていない男にとっては至極驚ける芸当だった。
「すごいすごいよ! さすが世界に行っただけのことはあるよ!」
ビルデたちは自然と拍手をされていた。
「あんたたち、やっぱりすごい人だったんだな」
「だからそう言ってるじゃないですか。ではそろそろ闇蔵高校の場所を教えていただけますか?」
「仕方ないなー」
そう言うと男は警察官らしく高校の場所を丁寧に真面目に教えてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます