NoWHere To GO

遍雨(わたあめ)

NoWHere To Go

 どこにも居場所がない。

 そう感じたのはいつだっただろうか。

 二人組を作らなくてはならないとき?

 みんなはもらえていた友達からのお土産をもらえなかったとき?

 インスタのストーリーで僕以外のいつめんでカラオケに行っているのを見たとき?

 きっと日々の小さな所で感じていたのだ。

 生きづらさを。


「は?判定おかしいだろなんで今のでダメ入らねえんだよ。おかしいだろおい」

 部屋に無機質なゲーム音声と苛立ちで飽和した舌打ちが鳴りひびく。

『おいおい。あんまり声荒げるなよ。近所迷惑って知ってっか?』

 心地いいまであるゲーム音に調子に乗った声が混じってくる。

 こいつはネッ友の『山田だよピースピース☆彡』だ。

 最初の頃はFF関係なだけだったが、だんだん一緒に通話をしたり、ゲームをする仲になっていった。そろそろオフ会というものに手を出してみようと考えている。

『♰刃♰は学校には行かなくてもいいの~?』

「その名前で呼ぶな!学校はいいんだよ…もう」

 不登校になってからというものずっと山ピスと一緒にゲームをしている。

 ちなみに♰刃♰というのは一個前のゲームとSNSのアカウント名だ。黒歴史だからさっさと忘れさせたいんだが忘れてくれない。

『え~学校は行っといたほうがいいよ~。俺みたいになりたくなけりゃ』

「たしかに学校に行った方がいいかもしれんな」

 思いっきり切り付けてやると山ピスはおい!とツッコんだ。

『そろそろFFになってから3年だね~』

 FFになってから3年ということは不登校になってから、こいつとゲームを一緒にするようになってからもう1年が経つのか。

「やっぱそのキャラ強すぎるって!」

『課金限定キャラだからね!強いに決まってるだろ~!』

「課金できないんだよ!こっちは金欠なんだから課金なんてできるわけないだろ?」

『バイト、紹介してやろうか?』

 バイトか…アリか?いや、ナシだな。

「働いたら負けだと思ってる」

『ミームを積極的に取り入れていくんじゃない』

 やっぱりこいつと話すのは楽しいな。どんな変化球を出してもちゃんと拾ってくれるし。

 会ってみたいな。こいつに。

「なぁ、オフ会…しないか?」

 ついに言ってしまった。沈黙がやけに長く感じる。

『オフ会?いいぞ。じゃあ空いてる日教えて…って言っても実質ニートだからいつも空いてるか!こっちで予定決めるから最終確認だけたのむね~。ディスコに送るから』

 意外とあっさり決まってしまった。あと…

「実質ニートってなんだよ!不登校なだけでニートじゃねえよ!」

 そう叫んでボイチャをブツ切りしてやった。

 声にうれしさがにじんでるのがバレないように。


 今日も今日とてゲームをしている。

 最近は格ゲーではなくロールプレイングゲームだったり、タワーディフェンスをやったりしている。

 ちょっと前にやってたゲームをもっかいやり直している。

 ソロプレイのものが多く、音楽を聴きながらゲームをしている。

「そろそろ他のゲームでもやろうかな~」

 いったんテレビの電源を切ってパソコンを起動させる。

 ファンが動き出す音とPCの起動音、窓から聞こえる海の音、垂れ流している音楽が混ざり合ってとても不快感を呼ぶ不協和音を奏でている。

 急に暗くなった。といってもスマホのスリープ機能が働いた程度だ。

 天井のライトを見るがもともと点いていない。午前中からライトをつけると電気代がバカにできない金額になるのだ。

 外を見ると太陽に雲がかかっているだけのようだった。

 外を歩く人々、彼らは何のためにその一歩を踏みしめているのだろうか。

「考えたってなんにもわからねえな」

 しばらく思考を巡らせた結果、そんなことをして何になるでもないという結論に至ったのでさっさとゲーミングチェアに倒れ込んだ。

 ダブルクリックをしてゲームを起動させる。

 オープニングカットが入る。マウスを酷使してログインボーナスやイベントログボを回収していく。

 僕という人間が紡ぐ物語はこのままこの狭い部屋の中で終わりを告げるのだろうか。

 現実から逃げるようにゲーム画面に目を向けた。

 よく見たらお知らせの欄に未読が付いている。

 どうやら激ツヨ課金キャラの再販が決まったらしい。

 今の環境はこいつがいないとクリアが難しいくらいのインフレ具合を醸し出している。

 とはいえ、金欠だからな…。

 課金は別にしてもいいが、やるなら自分のお金でというのがうちのルールだ。

 最初の頃はたくさん課金をしていたが、お金が尽きてしまった。

 でもこのゲームを続けていくならこいつを入手しておかないと生き残れなくなってしまう。

「お金…稼ぐかぁ……」

 バイトでもしてみようか。でも年齢的にコンビニバイトぐらいしかないだろうか?

 コンビニバイトはいやだ。完全な偏見だが、大変そうだし、人とたくさん話さないといけなさそうだし、クレーマーが多そうなイメージだ。

「それ以外にバイトとかあるかなぁ」

 特別なコネがあるわけではない。だれかに頼んで紹介してもらう…というのもツテがあるわけでは…いや。

 しばらくめんどくさいという感情を説得してチャットアプリに山ピスにコンタクトを取った。


 翌週、僕はオフ会のために駅まで来ていた。

「あの、山田だよピースピース☆彡さん…ですか?」

「ん?おお、♰刃♰くん?」

「あ、すみません人違いでした」

 まってまって冗談冗談といいながらうざったらしい野郎が近づいてきた。

「ごめんて。君は干場っちくんであってる?」

「そうですよ山田さん」

 ちなみに干場っちというのは今の僕のアカウント名だ。

 少し間をおいた後思い出したかのように「ああ」と反応する山田。

「とりあえず、シャレオツなカフェーでも行くかい?それともサイゼリアの方がいい?」

 金欠と話していたからか安くてうまいと定評のあるサイゼリアを提案してきた。案外気を使える人なんだな。

「ちなみに金欠の干場くんには俺が奢ってやろう!じゃあほら、サイゼリア行くぞ」

 何気なくサイゼリアに向かおうとした山田の肩をつかんでカフェに向き合わせる。

「それじゃあ、いきましょっか!シャレオツなカフェ!」

 山田は少し…いや、かなり嫌そうな顔をしていた。


「じゃあ改めて、干場っちです。ちなみに苗字は干場じゃないで~す!」

 山田は少し驚いたような顔をする。

「本名は干場 刃だとばかり思っていたよ」

 満面の笑みでいじってきたから机の下でこっそり足を踏んづけてやる」

「ちなみに俺もアカウント名は山田だよピースピース☆彡だけど苗字は山田じゃないぞ」

 今度は僕が驚く番だった。

「ええ!じゃあ名前が山田なんですか…」

 思いっきり憐みの目を向けると山田(仮)が「ちげぇしその目を向けるんじゃねえ!」と机の下で足を蹴り上げやがった。

 しばらく机の下で蹴りあっていたが店員さんがお冷を持ってきたので急いでやめてなかよさそうにふるまう。

「で、バイトの斡旋してくれるってこの前言ってたじゃん。あれ、なんかいいの持ってこれた?それとも見栄でも張ったの~?」

 それを待っていたかのようにどこからかパネルを取り出す山田。

「では紹介していきましょう!今回エントリーしたバイトの総数は何と十を超えます!しかし厳正な審査の結果3つまで絞りましたのでそこからお選びください」

「ちゃんと準備してきたんだ。意外だな…おいそのドヤ顔やめろお冷ぶっかけんぞ」

 その言葉が聞こえないかのように山田はその顔のままバイトを紹介していく。

「まずはエントリーナンバー1番!コンビニバイト選手!時給は低め、労働時間多め!ストレス多めの3点のハッピーなセットとなっております!」

 なるほど。メンタルよわよわの僕にはつらい仕事内容だな。ハイ次ィッ!

「学生の苦難を助けてきたのはこの仕事!ぅえんっとりーなんばー2番!新聞配達!」

 確かになんとなく学生でもやっているイメージがある。あとなんで陣で内な感じの説明の仕方なんだ?

「ちなみに労働時間は朝と夕の2回!高校生はバイクの免許を取ることができますが今のお年齢は?」

「いま?今は15だけど…」

「なんと16歳未満の方限定!自転車か走りで新聞の配達をしていただけます!」

「パスで」

 いやだ!この自堕落引きこもり生活の果てに手に入れた体は実質吸血鬼とミジンコのハーフ!朝に弱く、体力がない!

「ではこちらで最後の方となります!エントリーナンバー3番!配達業!ただしただの配達業ではございません!完全に個人性の配達となります!」

 個人性とな?

「要するに普通の郵便は民営だからどうしても上の人の給料の割合が多いのさ。でも個人性の郵便なら金額全部を自分のものにできるんだ!それに普通の郵便は結構送れないものも多いんだよね。そういうのを送りたい人にうってつけなんよ」

「ふーん。結構よさそうだね。でも仕事は自分で取りにいかないとなんでしょ?」

 そういうと山田は待ってましたと言わんばかりの顔をして高らかに宣言した。

「お任せ下さい!仕事はこちらで紹介いたしましょう!」

 その声の大きさに周りの客や店員さんがジロッとみてくる。その冷ややかな視線に「あ、いや、なんでもないです」と言って首をすくめた。

「視線が冷たすぎてお前にお冷かけられたかと思ったわ」

「伏線回収⁉誰がうまいこと言えと」

 一息ついて山田が聞いてくる。

「で、よさそうなのあった?」

「うーん今のところだと配達が一番よさげだけど…。ちなみに厳正な審査に落とされたバイトっていうのは?」

 山田は手帳を取り出してチラリと見て言った。

「そうだねえ…。夜道で猫を探すバイトとか、マグロ漁船で行う長期バイトとか?」

「なんでそんな怪しげな奴なんだよ…。ていうか夜道で猫を探すバイトってこの前ツイッターで流れてきたぞ⁉」

「うわwもう時代はXなんだけど?いまだにツイッターとか言ってんの?懐古厨?」

「ほんとにぶんなぐってやろうか」

 山田はヤダ~こんなオシャレなカフェで物騒なこと言わないでちょうだいよぉ~とクネクネしながら言ってきた。

「まぁ、配達のバイト、しようかな」

「はいよ。まかせんしゃい!じゃあまずはこの人に仕事もらってるから、早速行ってきな~」


 それからは案外普通の生活を送った。

 てっきり労働というものは体に悪いと思っていたが、自分で稼いだお金を見てるだけで幸せになれる気がしてくるし、なによりいい意味で社会の歯車となれているという実感がわいて楽しい。

 そんなこんなで最近僕はいい感じだった。ゲームの課金もできたし、充実できている毎日を送っている。もう仕事を始めてからそろそろ1か月が過ぎるだろうか。

 今日も今日とて仕事がある。


「若おじさん。こんちは~。配達屋で~す!チャットに依頼入ってましたけど誰に持ってけばいいすか?」

 最近はチャットを通して連絡を取っている。というのも仕事相手が増えてきたから山田さんが音を上げたのだ。

「おお!干場くん!これタケさんのところもっていっといてくれる?」

 ちなみに仕事では干場と名乗っている。山田からの斡旋がほとんどのため、干場と呼ばれるしかないというだけだが。

「は~い!この水色のビニール袋をタケさんね!」

「おう!若いのによく働くねえ!これ、お金と…アメいる?」

「一般認識大阪のおばちゃん⁉」

 お金をもらって次はタケさんのところに行く。

タケさんはノリのいいおじさんでいつものんびりしている。

「タケさ~ん!若さんから荷物~」

「おう、了解。ありがとな」

 なんかタケさんがいつもより忙しそうだ。

「どうかしたの?」

「ん?ああ、ちょっと新人がミスしちゃってね。その荷物結構急ぎで必要だったから助かるよ」

 そういうとタケさんは眼鏡をクイッと上げて荷物を部屋の隅に置いた。

 いつものんびりしてるタケさんがこんなに焦ってるのは珍しいな…。

 少し不思議に思いつつも僕はタケさんのところを後にした。


 その後部屋でのんびりゲームをしているとチャットが来た。また仕事が来たのかな?と思いスマホを覗くとタケさんからだった。

『タケ<ちけ^_^ほ』

 ついにタケさんがチャットに怪文書を送り始めた…。

 怪文書を無視してゲームを起動させた。


 数日後、今日も今日とてゲームをしている。

 あれ以来仕事が減ってしまった。まだしばらくは課金をしても大丈夫な額を貯金しているが、そろそろ心もとないかもしれない。

 今はタワーディフェンスゲームをプレイしている。

 考えてみれば僕が仕事を始めたきっかけとなったのもこのゲームか。

 もしあそこでこのゲームをしてなければ、お知らせを無視していれば、山田に連絡してなければ、今の僕はいないと断言できる。

「ありがとうな…」

 感謝の意を込めてそうつぶやくと画面の中のキャラクターが「なにしてるだち~?」と問いかけてきた。しまった。つい考え事をして放置してしまった。

 すると次の瞬間――

ピーンポーン

 玄関のチャイムが鳴った。

 親が出てくれるだろうと思っていたが思い返してみると仕事から帰ってすぐに車のエンジンをかけた音が聞こえた気がする。買い物にでも行ったのだろうか?

 今までの僕なら居留守を使っていたがもう僕は仕事をしていて控えめに言って社会人だ。

 勇気を出して玄関の扉を開ける。そこに立っていたのは…

 青い服を着たお兄さんたち――もといお巡りさんがいた。

「こんにちは~。春野嵐士くんかな?すこしお話聞かせてもらっていいかな?」

 バタン!思わず扉を閉めてしまった。

 恐る恐るドアを開けてなんでしょうと問いかけてみる。

「あ、ごめんね。最近、事件で検査したしたところに君の指紋があってね。話を聞かせてくれるかい?水色のビニール袋なんだけど…」

 その言葉を頼りに記憶を探ってみる。いや、探す必要なんてない。

 タケさん…。

 その時、フラッシュバックのようにチャットに送られてきた文面を思い出した。

『ちけ^_^ほ』とは『にげろ』ではないか…?

 タケさんが急いで打ち間違えたとしたら納得がいく。

「わかりました。ちょっと待っててください」

そう言ってドアをいったん閉めると必要そうなものを集めた。財布とスマホと…家族に手紙も書いておくか。

あらかた準備を終えると僕はドアスコープから外の状況を確認した。

 その姿はまるでMwah!としているようだ。

 お巡りさんがよそ見をしているタイミングを見計らって勢いよく飛び出る。お巡りさんがおい!と声をかける。

すれ違いざまに「逃げるんだよォ!」と言ってやった。

 山田に連絡を取りたいがさっきから音信不通状態だ。

 今日はネカフェとかで止まるしかないかもな。


「ありがとうございました。若おじさん。今日は泊めていただいて」

「いいんだよ。困ったときはお互い様だ」

 それにしても僕はなぜ追いかけられたのだろう。

 ただ仕事をしていただけで追いかけられる道理はないはずだ。

「若さんなんか知ってる?」

「そうだなぁどこまで言っていいものか…」

 その反応でだいたい分かった。きっと言いづらいことをしていたのだろう。それこそ、違法なことを。

「まぁ、別にいいか」

 若さんがいいのかよと笑った。


「じゃあそろそろ行くわ」

「もういっちまうのか?まだいてもいいんだぞ」

 そのやさしさに泣きそうになったが迷惑をかけてしまうだろう。

「いえ、……大丈夫です。もう、行くべき場所があると思うので。」

 若さんはそうか。とだけつぶやいてじゃあな。と言った。

 では。と言って別れた。


 僕はタケさんのところまで来ていた。かなり複雑な事件だったのかまだ警察が撤収しきっていない。

 僕は意を決して現場に忍び込んだ。

 タケさんは、彼は何だったのか。

 現場が保存されているとはいえ、指紋を取られていたということはもうめぼしいものは何もないかもしれない。

 しかし一度見ておきたい。タケさんがいた痕跡を。

 誰もいないタイミングを見計らい部屋に忍び込むと特筆すべきものは特にない殺風景な部屋だということが分かった。

 なんにもないな…。

 その時、部屋のドアが開いた。知られる前に逃走してしまおう。

 窓から身を乗り出して逃げようとしたとき、視界の端にきらりと光るものを見つけた。眼鏡だ。タケさんの。

 僕は右手ですばやくそれを取ってポケットに入れた。

 そして改めて窓から脱出した。


 もしかしたらタケさんは違法なことをしていたのかもしれない。

 それでも一人の人間だ。

 僕の仕事が原因でその一人の命を奪ってしまったのかもしれない。

 僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。僕のせいだ。

 僕は自宅の方に足を向けた。


「いつきてもいいな」

 僕は今、潮の近くに来ている。

「まぶしいし、べたべたするし、あつい。いいわけじゃないな。うん」

 山田はどこまでわかっていたのだろう。

 というよりこれって俗にいう闇バイトってやつだったのかな。

 意外と日常に潜んでいるんだな…。

 なんてとりとめのないことを考えていたがいよいよ考えることがなくなってきた。

「そろそろ行くか」

 潮の近く、とさっきは言ったが、それも実はあまり正しくない。

 いま、僕は崖の上の干場という状態だ。

 映画にできそうだな。崖の上の干場。

 崖の先端に向かって歩きだす。しかしどんどんスピードが上がってもう走っているようだ。

 崖から海に向かって飛ぶ。

 どこまでも飛んでいけそうだ!

 ふと、家の方を見てみる。

 あの部屋からまさかこんなことになるなんて思わなかったな!

 なんかむしろ清々しい!

 過去の僕よ!君はかつて自分が紡ぐ物語は部屋の中で終わりを告げるのかと問いていたな!

 その質問に答えられそうだ!

 僕は!地球という大きな舞台で物語に終止符を打つんだ!そんな人生を!歩むんだよ!

 死ぬことは怖い。しかし絶望はない!

 海に入った。海面がコンクリートみたいに固い!

 冷たくて気持ちいいな!

 どんどん深海に沈んでゆく。

 水面から差し込む光が美しい。

 どんどん苦しくなってくる。

 生への渇望もわいてくる。

 しかし!ここで潔く死なないと恥ずかしいな!今の今までポエムチックに思考を巡らせていたから!

 僕は、いや、俺は!どこで道を踏み外したかなぁ!

 この人生は悔いが残った!

 他に恨むこともあった!

 しかしこれだけはきっと、正しいことだ!

 ここが!この深い深い海の底こそが!



いま、ここが僕のいくべき場所だ!

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