第2話
「あんた達は?ナツキは最近仕事とかどうなの?」
「えー、私は変わらないよ。慣れてはきたけど、事務だから電話対応ばっかり」
「あっははー!あたしガサツだから電話とか無理かも」
「確かにアキにはむかねーな。電話相手にキレそう」
「はぁー!?あんたはどうなのよ?」
「俺はさ、外回りで頭ペコペコさげなきゃでマジで禿げそう」
「禿げろ禿げろ!あ、髪の毛減った?」
「うるせー!!」
途中で注文追加をして、アルコールを口にしていく俺達3人は酔いがどんどんまわっていく。
「ナツキはー、大人っぽくなった!綺麗になった!!」
いい感じなってきたアキは、向かいに座るナツキの肩に無理矢理手をまわす。
「本当に?嬉しい!アキちゃんも綺麗になったよー。というか元々綺麗だしね!」
でたでた…。面倒くさい女同士の褒め殺し合い。
「あはは!ナツキは相変わらず口が上手いなー」
なんてアキがナツキの頬に唇を軽くつけた。
……この感じ、絡み酒になってきたっぽいな。
「本当だよー!綺麗になったよね?ハルキ!」
ナツキも俺にふるなってば……。
とりあえず、笑って頭を傾げておいたら、アキに頭を叩かれてこの空間に笑い声が広がる。
「あんたは黙って頷いときゃいいの!うーん、あんたはー……」
アキが真っ直ぐ目を向けて俺を覗き込み、言葉を続けていく。
「おっさん化したしたよね!!」
「あはははは!」
「はぁ?アキ、お前!!ナツキも笑うなよ」
「いや、だってさ。ひゃはは、あんたにスーツとか似合わないし!!」
「確かに!私もまだ見慣れなーい!」
「仕事なんだから仕方ねぇだろ!」
くっそ、ナツキの奴。
就職してもう2年以上たつのにそう思ってやがったのか……。
「うん、でも。2人とも変わってなくて安心した!!」
「アキちゃんもねー!」
一瞬だけ、アキが目を伏せた気がした。
きっと、俺も相当アルコールがまわっていたから、気のせいだったかもしれない。
*
大学の帰り。サークルの皆でよくこの居酒屋に来た。
その頃となんら変わらない雰囲気が俺達を包み込む。
アキとは幼稚園から同じで、ナツキは高校から一緒だった。そのままエスカレーター式で同じ大学に通っていた。
「ナツキはいい子だよ」
「知ってる」
「あんたなんかには勿体ないけどさ」
「知ってるよ」
「いい彼女になるよ」
「あー、もう知ってるってば!!」
俺に対していっつも「あの女は駄目だ」「アレは遊んでる」、なんて蹴散らしてきたアキが、はじめて勧めてきた女の子がナツキだった。
元々、俺はナツキに好意を抱いていたし。
あんな女子と付き合えたらいいなと思っていた。
アキに言われたからじゃない。けど、アキの言う通りで、ナツキは俺と真面目に付き合ってくれた。
喧嘩はするけど浮気はしない。
嫉妬はするけど束縛はしない。
いつも見守ってくれて、時々甘えさせてくれる。
心地よくて、温かい。
いつまでも、きっと、一生穏やかな関係でいられる相手だ。
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