第3話
ひぐらしやカラスのなく声に耳を傾けながら、オレンジの世界を歩き出す。
今日も退屈で虚しい1日だった。
とぼとぼと歩き進めていると、突然帽子になにかが落ちたような感覚が伝わる。
不思議そうに帽子をとってみると、鳥の糞が乗っていた。
…今日はとことんツイてないらしい。
ため息をつきながら鳥がいたであろう空を睨む。
そこには鳥は既におらず、赤赤とした夕焼けが広がっているだけだった。
でも何故だろうか、この景色は久しぶりに見た気がする。
そういえば、もうしばらく空なんて見上げていなかったかもしれない。
改めて見てると夕焼けも案外いいもので、遠くに飛ぶカラスと重なると、なんだかとても絵になっていた。
なんとなくこの景色を残したくなって、スマホのカメラを向けてみる。
思わず息が漏れるほどの感嘆をしながらシャッターを押すと、少し幸せな気持ちになれた。
こういうのも、たまには悪くない。
空はいつだって、私を見てくれてたのだから。
私を見て 彩雲(あやも) @-Akuriru-
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