【読者参加型没入エンタメ小説】不可視の証人 -読者が暴く密室殺人-
湊 マチ
第1話 不可視の証人
東京・六本木の超高層ビル「レヴァントタワー」。
その最上階にあるVIPルームは、権力と財を持つ者だけが集う特別な空間だった。
その夜、一人の男が、震える手でスマートフォンを操作していた。
藤堂圭吾——財閥系企業「藤堂グループ」社長。
成功者として華々しい経歴を持つ男だった。
だが、その表情には明らかに焦りが滲んでいた。
「……明日、全てを公表する」
彼はスマートフォンの通話ボタンを押した。
画面には「非通知」の表示。
電話の向こうから、低くくぐもった声が聞こえる。
『本当に、それでいいのか?』
「……もう、これ以上、隠すことはできない」
藤堂はウイスキーのグラスを持ち、ぐっと飲み干した。
だが、喉の渇きは収まらない。
『なら、お前の運命も決まったな』
ピッ——。通話が切れた。
藤堂はふっと息を吐いた。
その瞬間——
室内の照明が、一瞬だけ暗くなった。
「……?」
彼は顔を上げた。
天井に吊るされた高級シャンデリアが揺れ、監視カメラの赤いランプが不自然に点滅している。
「なんだ……?」
微かな違和感。しかし、それに気を取られたのも束の間——
背後から忍び寄る、影があった。
---
翌朝、藤堂圭吾の遺体はVIPルームのソファで発見された。
喉を掻きむしるような形で絶命していた。
密室での殺人事件——。
警視庁捜査一課のベテラン刑事、志水龍一が現場を見渡す。
「……これはまた、派手にやられたな」
彼は鼻を鳴らしながら、部屋の中を見回した。
監視カメラには、藤堂が苦しみながら倒れる様子が記録されていた。
だが、犯行の瞬間には“誰も映っていなかった”。
扉は内側から施錠。
窓は完全密閉。
防犯システムも正常作動。
「おい、監視カメラの映像、もう一度確認しろ」
若手刑事が慌ただしくパソコンを操作する。
「はい、ですが……やはり犯人の姿はありません」
「どういうことだ? まるで、幽霊にでもやられたみたいだな」
「バカ言え、幽霊が人を殺せるかよ」
志水は険しい顔で腕を組んだ。
テーブルの上のウイスキーグラスを手に取る。
そこには——藤堂の指紋とは異なる指紋が付着していた。
「このグラスを調べろ。こいつが、“見えない犯人”の正体を知ってるかもしれねぇ」
3. 盲目の証人と弁護士・相沢悠斗の登場
その日の午後、警察に一人の証人が現れた。
「すみません、私……あの夜、犯人の顔を見ました。」
捜査本部に入ってきたのは、黒いサングラスをかけた若い女性。
細身の身体に、白い杖を持っている。
水城春奈(24)——盲目のピアニスト。
「……あの、今なんて?」
刑事たちはざわめいた。
「犯人を見た、と言いました」
「いや……」
「私、確かに“見た”んです。犯人の顔を。」
その場の空気が凍りついた。
「水城さん、あなた……目が見えないんですよね?」
志水が確認するように尋ねると、春奈は頷いた。
「はい。でも、私には分かるんです。」
「……どうやって?」
「音です。」
彼女は静かに言った。
「私は、音の反響や、空気の流れで、誰がどこにいるのか感じ取ることができます。」
刑事たちは半信半疑の様子だった。
「つまり、あなたは、目を使わずに犯人を“見た”と?」
「はい。」
「なら、聞きます。……犯人は、誰だったんですか?」
春奈は、一瞬だけ沈黙した後、はっきりと答えた。
「……“あの人”です。」
彼女が指差した方向には——
“誰もいなかった”。
「……ちょっと待て」
低く冷静な声が響いた。
場の空気が変わる。
部屋の奥で腕を組み、静かに事態を見守っていた男が口を開いた。
相沢悠斗——弁護士。
「水城さんの証言には矛盾がある。彼女は本当に“犯人を見た”のか?」
鋭い眼差しを向けながら、相沢は続ける。
「それとも、“犯人の存在”を感じ取っただけなのか?」
志水が息を呑む。
「どういうことだ?」
「彼女は“目が見えない”のに、犯人の顔を見たと証言した。だが、それは文字通りの“視覚的な認識”だったのか?」
相沢は、ゆっくりと春奈へと近づく。
「水城さん。あなたは、本当に“見た”んですね?」
春奈は唇を噛みしめた。
「……はい。」
「では、その“見た”という感覚が、本当に“視覚的なもの”だったのか、もう一度考えてください。」
読者の推理が試される! 事件の真相に迫る選択!
相沢悠斗は、春奈の証言の矛盾を指摘した。
しかし、彼女の言葉の真偽はまだ分からない。
---
次に相沢が取るべき行動は?
君の選択が、事件の未来を変える。
1. 水城春奈を追い詰めて真相を引き出す
2. 監視カメラ映像を再解析し、確実な証拠を探す
コメント欄に「1」または「2」を記載し、選んだ理由を一言書いてください!
締切:明後日17:00まで!
あなたの推理が、この事件を左右する!
---
読者の皆さんへ
あなたは今、未解決の密室殺人事件に直面しています。
監視カメラには犯人の姿は映っていない。
証拠はあるが、手がかりはどこか曖昧。
唯一の証人は盲目のピアニスト——彼女の証言を信じるべきか?
この事件を解決するのは、探偵でも刑事でもない。
そう、あなたです。
物語はあなたの選択によって進行します。
誤った推理をすれば、事件は迷宮入りし、犯人は逃げてしまうかもしれない。
しかし、冷静な分析と正しい選択ができれば、真相に辿り着くことができるはずです。
「あなたは、次にどの行動を取りますか?」
答えを決めたら、コメント欄に「1」または「2」を記載してください。
締切は明後日17:00まで。
最多票の選択肢が、次回の物語を決定します。
物語の未来は、あなたの推理力にかかっています。
さあ、事件を解決し、見えない犯人を暴いてください。
【読者参加型没入エンタメ小説】不可視の証人 -読者が暴く密室殺人- 湊 マチ @minatomachi
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