第3話 移動手段も装備もばんばん買い込め

翌朝、村の広場に出てみると、すでに何台かの馬車が行き交っている。


行商人が別の町へ向かう準備をしているのだろう。


俺たちも次の行き先を考えなくてはならない。


「リューリ、もうこの村に用事は無さそうだし、大きな町に向かおう。そこなら魔法学園とかギルドとかもありそうだし、商売の規模も大きくなる。宿屋の女将さんに聞いたら、ここから西へ行った先に割と大きな街があるってさ」


「はい。私もできれば魔法について勉強したいです……」


旅をするには馬車か徒歩になるが、どうせなら馬車を買ってしまう手もある。


そう思い【フリマ】で検索すると、「小型荷馬車セット」や「騎馬付きの移動用ワゴン」まで色々ある。


使える後払い枠は少しずつ増加しており、今ならゴールド貨5枚相当まで対応可能。


馬車と馬一式で大体ゴールド貨3枚ほどで買えそうだ。


「よし、買っちゃおう」


ポチッと購入ボタンを押すと、村の広場の空き地に眩い光が集まり、あっという間に馬車と茶色い馬が現れた。


人々が声をあげて驚いている。


「ひゃああ! いきなり馬が現れたぞ!」


「この人、何者なんだ……」


そりゃ驚くだろう。


俺も初めてこんな大きな物を【フリマ】で買ったから圧巻だ。


馬は落ち着いた様子で立っていて、ちゃんと鞍も具も備わっている。


「すごい……本当に買えちゃうんですね」


リューリが馬車を恐る恐る触っている。


確かに俺自身も若干不安だが、説明書きによるとこの馬は「操作しやすい訓練済み」らしい。


初心者でも問題ないと書いてある。



出発の準備を終え、村を後にする。


途中、別れ際に宿の女将さんやら何人かが見送ってくれた。


奴隷少女をあんな形で買った俺を最初は警戒していた人もいたが、いまは好意的に手を振ってくれている。


なんだか温かい村だった。


馬車を走らせながら、俺はリューリに声をかける。


「そうだ、せっかくだし馬車の中に寝床を作っておこうか。あと、食料や水もまとめ買いしておけば、道中で困らないだろうし」


「そんなに何でも買えるんですか……?」


「買える買える。見てろよ」


俺は馬車の後ろにあるスペースをちらりと確認してから、【フリマ】で「折りたたみ式ベッド」「保存食大量セット」「飲料水樽」を一気に購入。


すると、荷台部分に次々と物が転送されてくる。


たちまち馬車の中がそこそこ快適な移動拠点になった。


「すごいです……もう何でもありですね……」


「ただし、後払い枠を使いすぎると支払いが大変になるし、枠がいっぱいになったら詰む可能性もある。今のうちに、転売とかクエストで稼ぐビジネスをちゃんと確立しないとね」



道中、何かモンスターが出てきたりしても、俺には【フリマ】で瞬時に武器や防具を取り寄せる手段がある。


試しに「初級冒険者セット」なる装備一式を買ってみたが、これには革鎧や短剣、ポーションなどがまとめて入っていた。


値段はゴールド貨1枚相当。対して、現地で同じ装備を整えようとするともっと手間や費用がかかるらしいので、お得感がある。


さらに魔法に興味を持ったリューリのために、「基本魔法入門書」や「簡易魔力触媒」なども購入してみる。


リューリは目を輝かせながら魔法書を読み始めた。


「すごい……こんなに分かりやすい図解があるなんて。これなら練習もしやすそうです」


「だろ? ただし馬車での移動中に魔法の練習は危ないから、どこか安全な場所で試そうな」


こうして俺たちは何でもかんでも【フリマ】で買いまくり、馬車をどんどん便利にしていった。


ベッド、食器、棚、マット、いろんな生活用品を買い込んだ結果、まるで小さな家のような快適さを手に入れる。


支払いはもちろん後払いだが、道中で素材や情報を仕入れて売ることで、少しずつ利益を回収している。

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