第12話
「誰だ! 一体誰がワシの息子にこんなことを──」
分かりやすくそんなことを騒いでいる男が死体のすぐ側に居てくれたから、俺はそのまま少しだけ残っていた血を使って、その男の体を突き刺した。
そして、そのまま騒いでいた男から出た血も使って、連鎖するように集まっていた人間を皆殺しにした。
全く警戒なんてしていなかったから、というのも当然あるだろうが、まぁ、シンプルにこいつらが別に強いやつなんかじゃなかったからなんだろうな。
これで自惚れるような真似はしちゃダメだ。
そう自分に言い聞かせつつも、確かに強くなっていく感覚を俺は肌で感じていた。
そのことに対して思わず口元を緩めてしまいながらも、俺は横抱きにしている少女の顔を見た。
俺がやった事に気がついているのか、突然のことにビックリしている様子ではあるけど、特に怯えている様子は見えなかった。
こいつがおかしいのか、眷属化した影響か……まぁ、どっちでもいいな。
そんなことより、こいつにはさっさと自分の足で歩いて欲しいから、さっさと食料を探そう。
あー、つか、名前……はまだいいか。
まだ眷属化した後も血が美味いって決まったわけじゃないから、普通に殺す可能性もあるしな。
そう思いつつ、俺は殺した奴らの血を血液操作でさっきみたいに近くに球体にして浮かべつつ、まだ生きている人間がいるところに向かって歩き出した。
人間が集まっていたとはいえ、何もこの村にいる人間全てが集まっていた訳ではないからな。
「少しいいか? いいよな?」
そして、少し歩いたところで、畑仕事をしている男を見つけたから、俺は語気を強めて、そう言った。
「あ? 俺は今、やりたくもねぇ畑仕事で忙──あ、え? な、なんだ……? そ、それ……」
俺の方に振り向きつつ、近くに浮かべている血液の球体を見た男は途中までの勢いが嘘だったかのように怯えたようにそう聞いてきた。
「なっ、な、なんで、そ、そいつが、そ、外に……」
かと思うと、今度は俺が抱えている少女を見て驚いたようにそう言っていた。
「食料が置いてある場所に案内しろ」
「は? お、お前みたいな怪しいやつに、そんなこと、で、出来るわけ──」
そこまで男が言葉を発したところで、俺は球体にしていた血液の一部を使い、クワを持っている方の腕を貫いた。
「ぐぁッ、な、何を……」
「案内、してくれるよな?」
「わ、分かっ、分かった、から! こ、殺さないで、くれ」
「あぁ、案内してくれるのなら、殺さないよ」
嘘に決まってるけど。
殺さない意味が無いし。
腕から血が流れてるけど、この少女の血の匂いを嗅いだ後だと、全然心惹かれないし、こいつみたいに生かす意味が無い。
いや、まぁ、普通にそれでも美味そうだとは思うんだけどな。
「こ、こ、こっち、だ」
男は痛みで落としてしまったクワを拾うことなく、腕を押えながら、早く案内しないと殺されるとでも思っているのか、急ぎ足で食料を保管している場所に案内してくれた。
「も、もういいか?」
「あぁ、ありがとう」
礼を言うと同時に、逃げようとする男の頭を血で貫き、そこから出た血を近くに浮かせている球体に加えながら、食料庫の中に入った。
「よし、取り敢えず、どれでも好きなだけ食べていいぞ」
そして、そう言った。
どこからどう見ても、こいつはロクに食べさせてもらえてなんて無いだろうし、本来ならもっと胃に優しいものを厳選した方がいいのかもしれないけど、そもそもそんな余裕は無いし、まぁ、眷属化してるし大丈夫だろ。
─────────────────────
あとがき。
少しでも面白いと思っていただけたのなら、モチベーションの為にも、この作品を長く続ける為にも、星やハートのお恵みお願いします。
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