作者は物語に没入し、キャラクターたちは勝手に動き出す。
- ★★★ Excellent!!!
ライターズ・ハイとはそういうことを言うのでしょうが、本作で描かれる状況はいささか――いや、だいぶ――異なります。
恐るべき駄女神の力によって、自らのしたためた小説作品の中に勇者として召喚された作者と、明らかに原作とは異なる様相を見せる(あるいはそもそも姿を見せない)パーティーメンバーたち。。著作人格権はどこへ行ったのだ!!と訴え出るまでもなく、物語は最初からクライマックスを迎えます。
勇者は勇者らしくなく、大魔道士は賢しくなく、聖女は穢れて、魔王は愛くるしい。皆それぞれが筋書きを離れ、好き勝手に振舞う。
それはいったい、何故か。
例え全員がてんでばらばらの方向を向いてはいても、実は全員が同じ観念によって突き動かされている。この作品が説き明かすのは、すなわちそういう、ひとつの真理なのです。一同がその真理を共有することにより、この物語は終わらない。パーティーはまだまだ続く。そんな境地に達することができる。
ひとつの真理とは、何か?
なに簡単なことですよ。漢字で書けばたったの一文字。あなたもわたしも、5歳の子供でも知っていることだ。それはつまり、
「愛」
なのであります。これは自分が始めた物語と、その登場人物によって愛された作者のおはなし。