第8話なぜ掘るか?

「まったく……強欲ババアめ。今に見ていろぉ〜」

 サクサクと僕はダンジョン牛の出た洞窟をキャンプ拠点にして、さらに下に掘り進めていく。


 水もあるし、たいまつも設置済み、保存食もあるし、赤茶の木まである。

 まさに理想のベースキャンプ拠点だ。


 モンスターが出ないとも限らないので安眠はできないけれど、それでも休憩できる場所は大切だ。


 僕はさらに奥に潜る。

 なぜ潜るか?


 山を登り続ける超人は言った。

 そこに山があるからだと。

 つまり理由などあってないようなものだ。


 その超人は次の登頂で帰らぬ人となった。夢とロマンを追い求めた英雄を馬鹿にする人はいない。


 未知と生きる今がそこにあるのだ。

 ついでに金になる鉱石と原石がある。

 これ大事。


 金のなる金のツルハシは強欲ババアに奪われた。

 ならば新たな金を手に入れれば良い。

 これはそういう話だ。


 そうして僕は新たな道具と武器防具を手にするのだ。なお、モンスターと戦うつもりのない僕に装備は特に必要がない。


 しかしこれはロマンの話なのだ!

 採掘した鉄や宝石で最強の武具を揃える。


 それはロマンなのだ!!


 ま、それよりもなにも考えずにサクサク掘っていくの好きなんだよねぇ〜。

 ときどき金になるものも見つかるし、もう僕の人生これでいいんじゃないかなとか思える。


 ……あれ? 掘ったものを売って金にすれば生活できるし、ほんとにこれでいい気がしてきたぞ?


 奴隷だけど土の中なら奴隷かどうかなんて関係ないし。売られそうになったらツルハシ持って土の中に逃げれば追って来ないだろう。


 モグラのように出てきたところを捕獲されないようにだけは注意しよう。

 そんなことを考えていると、僕はだんだんモグラの気持ちがわかる気がしてきた。


 そんなことを考えつうサクサク掘っていた。

 サクサク。


 ツルハシを振り回すスペース分を掘らないといけないから、結構な土の量で本来ならそれをかき出す人員が大量に必要だ。


 そしてかき出された良質な土は様々な土木工事や焼き物の材料、家の基礎と色々と使われるのだが僕は1人である。


 ゆえに金になりそうな良質なものだけ圧縮してブロックにして持ち帰るが、それ以外は固めて周りの壁に圧縮する。


 これで崩落も防げ、通路も確保できて一石二鳥になる。


 ある程度行ったら、お手製ランタン、もしくはたいまつ設置場所も作成して、明るくしておくのも忘れない。


 普通に1人で作れる範囲を超えているのは最初から気にしない。

 できるのだからオーケーだ。


「ふぃー、一服するかぁ〜」


 水袋の水をグビリ。

 これはキャンプ拠点地の地下水だが、ひんやりして美味い。

 川の生水などは飲むと腹を壊したり大変だが、地下に湧き出る水は良質なものが多い。


 言われている主な効能として。


 ① 筋肉、関節の慢性的な痛み、こわばり(関節痛、腰痛症など)

 ② 運動麻痺による筋肉のこわばり

 ③ 冷え性、末梢循環障害

 ④ 胃腸機能の低下(胃がもたれる、ガスがたまるなど)

 ⑤ 軽症高血圧

 ⑥ 耐糖能異常(糖尿病)

 ⑦ 軽い脂質異常症

 ⑧ 軽い喘息・肺気腫

 ⑨ 痔の痛み

 ⑩ 自律神経不安定症やストレスによる諸症状(睡眠障害など)

 ⑪ 病後回復期

 ⑫ 疲労回復、健康増進(生活習慣病改善など)


 温泉かよ!


 そんな心のセルフツッコミと共にダンジョン牛の干し肉をもぐもぐと口に入れる。

 このダンジョン牛の干し肉は噛めば噛むほど味わいが出る。


 スープにすればそれだけで絶品間違いなし。

 薬味に野草とか入れたりしたいよねぇー。


 保存食用の石……じゃなくて、硬い黒パンもそのスープと一緒にコトコト煮込むと美味しいんだよねぇー。


 そして掘るのを再開。

 すると食事ぱわぁの影響か、ついに僕は発見したのだ。


「くくく……、ついに見つけた」


 サクサクと掘った先に硬い石と鉄。

 さらに緑の宝石の原石。

 ヒャッハー! そう、エメラルドである。


 人には欲がある。

 そう、なぜ掘るかと言われれば己が欲を満たすためである!


 そしてそこには落とし穴がある。

 簡単にいうと、サクッと掘ったら、ボコっと穴が空いて、足場がノーなった。

 そして僕は奈落の底に真っ逆さま。


 これが世に言うフォール・イン・ザ・ウォール!

 言葉が合ってるかは知らんけど、とにかく落ちた!


 諸君! 生きていればまた会おう!

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