第15話

東京に戻った私は、小さなイベント運営会社に転職した。給料は前の会社より高くはなかったものの、そこそこやりがいを感じさせた。イベントの企画書作成では、ターゲット層のニーズを分析し、コンセプトや内容を具体的に落とし込むことはもちろん、PR活動では、メディアにプレスリリースを送ったり、SNSで情報を発信したり、広報戦略にも携わった。

イベント当日では、スタッフの配置やタイムスケジュール管理、トラブル対応などを行い、アフターフォローでは、参加者へのアンケート調査や、イベントの成果測定などを行うなど、一つのものを大勢の関係者と作り上げていくことにやりがいも感じていた。

またイベントのゲストに有名人をアサインすることもままあり、有名芸能事務所などに直接オファーをしにいくことも楽しさの一つであった。もちろん納期と予算はかなりシビアであったし、高知で働いていたときと比べてやはり3倍の速さで仕事をしなければとても達成できず、全体をマネジメントし、たくさんの利害関係者や委託会社とのコミュニケーションエラーが発生しないようにするのは大変だった。


それでも「東京で働いている」という実感は、私を満足させた。

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