第7回戦『壁ドン、足ドン、ドンドドン!! 上』
「……総当たり戦の壁ドン大会です!ルールは先に照れた方が負けです!」
「負けませんからね、先輩お二人方……!」
「うん!絶対、先に照れさせてみせるだわん……!」
「結構な割合で負けちゃっているけれど、二人には負けないのにゃん……!」
斯くして、壁ドン大会の火蓋は切られたのであった……!
「あ。先輩方、言い忘れてたんですけど1番目は良いトコの令嬢風に、2番目は厨二病風で3番は不良少年風に壁ドンをお願いします!あ。にゃんとか、わんとか有っても無くても良いですよー!」
「1番目は……ボクだわん。令嬢かー。出来るかな?ともかく、頑張るんだわん!」
「2番目は……
「3番目は……私だにゃん。厨二病風、か。フッ、私の若き頃の血が煮え
ーーーーー
「あっ。綾ちゃん!ちょっと待つんだわん!」
「何ですか?南先輩」
「どっちが壁ドンするんだわん?」
「あー。確かに、考えるの忘れてました……!んー。そうですねぇ。好きな方でいいですよー」
「了解だわん!じゃあ、まずは……ボクとこはるんで良いんだわん?!」
「うん!負けないのにゃん!」
どうやら、第1回戦は小春先輩VS南先輩の様だ。
「み、みなみ……?!」
南先輩が、小春先輩の両手の手首をヒョイと握ったかと思えば、小春先輩の両手が、ちょうど、手首辺りをクロスになる様に交差させた。そして、南先輩が片手で小春先輩の両手を壁に押さえつけたと思えば、小春先輩の耳元に息が掛かる位の至近距離で囁いた。
「ふふっ。……愛しているわ。ねぇ。こはる……?」
そう囁きつつ、南先輩は空いている方の手で、小春先輩の首筋をツツ、と爪で軽く掻く様になぞったと思えば、今度は小春先輩の
「いや、こう言った方が効果的なのでしょう……。ねぇ、
「くぅっ……!そんなこと、そんな風に、言われてしまったら……!」
小春先輩の頬が赤く染まった。つまりは、小春先輩の負けである。
「ふふっ、勝負合ったりなのだわん!」
「うう。負けちゃったのにゃん……。でも、南。下の名前呼びはズルくにゃいー?」
「ルール説明の時に、禁止とは言ってなかったから、セーフだと思うわん!ねぇ、綾ちゃん?」
「んー。確かに、南先輩の言う通り、言ってませんでしたし……。セーフで良いですよー」
というか、普段南先輩の小春先輩のことを「こはるん」って、あだ名で呼んでいるのに、ここぞとばかりのシーンでの小春先輩の下の名前呼びとか、「萌え要素」しかないので、正直な所ありがたいし、全然OKです!いや、いいぞ!むしろ、もっとやれ……!そして、
「……というか、小春先輩の下の名前って、『
「あれれー?言ってなかったのにゃん?私の名前は、
「まぁ。綾ちゃんって大学一年生やからなー。知らんで、当然ちゃぁ、当然かぁ……。じゃあ、気を取り直して、やりましょうか。続き。ねぇ、南セ・ン・パ・イ?」
「うん、雪乃!望む所だわん……!」
どうやら、第2回戦は雪乃先輩VS南先輩の様である。
「なぁ、先輩。どこ見てるん……?
そう言って、雪乃先輩はダンッ、と壁を足で蹴った。世間一般でいう、謂わゆるーーーーー足ドンというヤツである。
「ヒェッ……?!ゆ、雪乃……?!」
「えー。
そう言いつつ、雪乃先輩が足ドンした方とは反対側の手で南先輩の退路を防ぐ様に、ドンッと壁ドンをした。
「いや、そのー。余所見してた訳じゃない、というか……!」
「あっ!あと、先輩!……返して下さいね?!」
「えっ?ボク、雪乃にお金とか、マンガとか、貸してたっけ?」
「いいえ。でも……!先輩は
「へ?」
「
「もしかしなくても、ボク。カツアゲドンで『雪乃の心』をカツアゲされようとしてるー?!」
南先輩が、雪乃先輩の突然の発言にキョトンとしている中、雪乃先輩は南先輩に顔を近づけて、耳元で囁いた。
「いいえ、言い換えましょっか。……南先輩、
そう言いつつ、頬にクイッと
「ゆ、雪乃?!な、なに、して……?!」
「南先輩が照れた!よっしゃ、
「あー!負けたんだわんー!?」
キャー!イケメン二人(※尚、正真正銘2人とも女である)が戯れている……!キャー!絵になる!そう、雪乃先輩の凄さに諸君らは気付いただろうか?!まずは、雪乃先輩のお題のおさらい、からだ。雪乃先輩のお題は『不良少年』だ。そして、雪乃先輩は、1ターン目で、足ドン&壁ドン(カツアゲドン)を発動させる事で、不良少年を演じつつ南先輩の退路を塞ぎ、更に『心を返せ』と言う事で不良少年にカツアゲされている感を演出しつつ南先輩が照れる様に誘導しているという訳だ……!そして、最後の顎クイ&額にキスで、完ッッ全にノックアウトしにいっているのである……!いやー、お見事!雪乃先輩の完全なる勝利である!
「綾ちゃんー?おーい?」
ああ!そして脳内百合変換が捗るッッ!嗚呼、脳内百合変換って、なんて素晴らしいんだッッ……!などと、脳内百合変換の素晴らしさについて考えている間に、いつの間にか、ボッーとしてしまっていたらしい。
「綾ちゃんー?ボッーとしてるっぽいけど、大丈夫そ?始めんでー?第3回戦」
「は、はい!全然、大丈夫です!全然、お気になさらず……!」
「最後は、雪乃と私なのにゃん!」
「雪乃よ、私の魂がお主の魂と肉体を求め、お主と共鳴したいと言っているのにゃん……!だから、私と契約を結び、魂と肉体を私に捧げるのにゃん……!」
そう言うやいなや、小春先輩が雪乃先輩の元へと軽く勢いをつけて、駆け出し、雪乃先輩に壁ドンを喰らわそうとしたその刹那……!!
「わわわわわわっ?!」
小春先輩の足が絡まって身体のバランスを崩して、身体ごとよろけて転んでしまい、雪乃先輩の方向に倒れ込む形となり、雪乃先輩を押し倒す様な形になってしまう。
「だ、大丈夫ですか?!小春先輩?!」
「私はだ、大丈夫ッッ……!雪乃は大丈夫……?」
「はい。大丈夫です!」
見れば、小春先輩の顔は雪乃先輩とキス出来るような至近距離であり、小春先輩の手は雪乃先輩の柔らかいモノの所に当たっている。
「あれ?何だか、すごく柔らかい……?」
「あのー、先輩。やっぱり、大丈夫じゃないかも知れないです……。言いづらいんですけど、そのー、手をどけて欲しいです……。あと、足とか体も、色々とどけて欲しいです……」
視線を軽く反らしながら、そう言う雪乃先輩の顔は、まっかっかである。
「あっ。雪乃がデレた……?まさか、不戦勝なのにゃん?」
「ふ、不可抗力ですよっ……!しゃ、しゃーないじゃないですかっ!と、とにかく!どいてもろっても、ええですか……?!というか、小春先輩こそ、顔まっかっかじゃないですか……!」
「あ、ホントだ。と、とにかく、今どけるのにゃん……」
そう言って、小春先輩がどけようとした、その刹那、またもや、事件は起こる……!
「ちょっ……。んんっ?!こ、小春先輩?!ちょっ、どこ、触って……?!」
「ごめん!雪乃、ちょっとだけ我慢してて……。ど、どうしよう……。くくっていた髪が転んだ時の衝撃で
「えぇー。さいですか……」
「本当にゃのにゃん……。ううっ。ごめんなさい……」
「って、んっ、ああっ、しょこっ、アカンてっ……!こはる、しぇん、ぱっ……?!ら、めだからぁっ、アカンからぁっ……」
「ごめっ……!もうちょい我慢しててっ……!」
この後、私と南先輩で髪と衣装との絡まりをなんとか解いて、雪乃先輩と小春先輩を無事に救出した。
ーーーーー
「という事は……私が1敗1分け(?)で雪乃が1勝と1分け(?)で、南が1勝1敗だから……どうなるんだにゃん?」
「んー。どうしましょうか。仕切り直し、とか……?」
「あっ!そうだわん!綾ちゃんに壁ドンするっていうのはどうだわん……?!」
「へぇ……。南先輩、おもろい事言うやないですかー。ええですよ。ルールは綾ちゃんをよりキュンキュン出来た方でどうですか?」
「うん!それで良いんだわん!」
「それでええ?綾ちゃん?」
「は、はい!良いですよー!あ、小春先輩参加します……?」
「さっきのことも有ったし、やめとくのにゃ……」
「今、負けられへん戦いがここに……!」
「雪乃、ボクが絶対に勝つ……!」
どうやら、「壁ドンしよう回」は今、延長戦と
(続く)
次回:綾ちゃん、人生初の壁ドンされる事に!お楽しみにーーーーー!
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