エピローグ 『魂の伝承』
2025年、札幌市内の病室。
佐藤雅彦は、静かに目を開けた。窓の外では、雪が降り始めていた。
「先生、お目覚めですか」
看護師の声が聞こえる。ベッドサイドには、一枚の古いアイヌ織物が置かれていた。
「これは……」
その文様には、見覚えがあった。それは、自分が――いや、フレペが織ったものだった。
窓辺では、シマフクロウが静かに舞っている。
「分かったよ、シゲさん」
佐藤は微笑んだ。今、彼は本当の意味で「理解」していた。文化は、研究するものではなく、生きるものだということを。
「私たちは、みんな輪の中にいる」
その言葉を最後に、佐藤雅彦は永遠の眠りについた。窓の外では、シマフクロウが大きな輪を描きながら、朝日に向かって飛んでいった。
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