【小さじ1】夕立ちと原付
少し遡って、高校時代の頃の話です。
ある土曜の夕方、学校帰りに原付を飛ばして友達の家に向かっていました。当時ハマり込んでいたゲームの続きをやる為です。
季節は初夏、空は曇天。ちょっと急がなきゃなと思った矢先、案の定雨が降ってきました。しかも夕立ちです。あっという間にびしょ濡れになりました。
信号が変わるのを待って国道を渡り、静かな住宅街に入りました。その地区の奥が友達の家です。
その辺りは古いながらに割と良い佇まいの家が多く、ほとんどの家に塀がありました。そして、何度となく通った道です。
夕立ちは酷くなり始めていました。フルフェイスのヘルメットを通して見る目の前は真っ白で、雨の音しか聞こえません。
ある交差点にさしかかった時、一時停止を無視して行ってしまおうと思いました。言うまでもなく立派な交通違反です。
雨の酷さは勿論ですが、その交差点は、日中ほぼ車通りがない事を知ってもいたからです。
アクセルをふかして突っ切ろうとした時です。
「あぶないよ」
小さい男の子の声が、フルフェイスのヘルメットの内側、耳のすぐそばで聞こえました。
びっくりしてブレーキをかけた私の目の前を、ダンプカーがゴオッと通り過ぎていきました。
男の子の声のお陰で私は助かり、しっかり風邪をひきました。
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