第6話

「こんにちは、悪魔商事から参りました、佐藤と申します。」


「おお、初めまして、私は永井と申します。悪魔さんにお会いできて光栄です。」


「永井さま、初めまして。この度は悪魔召喚予約サイトをご利用いただきありがとうございます。」


「あーいやはや、なかなか初めての経験なもんで、ちゃんとできているか不安だったのですか。」


「問題ございませんよ。魔法陣も大変お上手に描けていますし。こちら初めておかきになられたのですか?随分と才能があるようで。」


「はは、お褒めに授かり光栄です。でも書いたのは私一人ではありませんよ。こちらの友人たちと協力して描きました。」


『すげー悪魔だ!』『見た目だけではほぼ人間と違いがわからないな』

『♀↓→*#゛<○:)』


「佐藤さんお久しぶり。」


「おお、おねえさま。来ていらしたのですか。」


「ふふ、悪魔仲間の初めての召喚ですからね。見守らせていただきました。」


「おねえ様のご指導であれば安心ですね。どうですか、弊社自慢の『びゅんびゅん飛び丸くん』は。」


「ええ、もうそれは快適のなんの。素晴らしい製品だね。」


「それはなによりでございます。『びゅんびゅん飛び丸くん』は弊社開発部の技術の集積でございます故、うれしく思います。」


「佐藤さん、実は、びゅんびゅん飛び丸くんの効果音オプションをつけたいんだが。アニメみたいにかっこよく移動したいのだよ。」


「承知致しました。では、永井様のお次に対応させていただきます。」


「ええよろしく。」


「ああそうそう、おねえ様、びゅんびゅん飛び丸くんの代償の方は問題ないでしょうか。」


「ああ、瞬間移動するたびに、私の身の回りのものが一つランダムに吹き飛ぶんでしたっけ。何一つ問題ありませんよ。」


「そうですか、であればよかったです。くれぐれも『ここぞ』というタイミングでお使いになられてくださいね。」


「勿論です。私はこう見えて世渡り上手ですから。」


「はは、それはその通り。では永井様、本日はどのようなご用件で・・・ 『ああ実は・・・』」


「おい大学院生君、そろそろ目を覚ましたまえよ。」


「ハッ。すみませんおねえさん。気絶していました。」


「唐突に目の前に悪魔が召喚されるという非現実的イベントに遭遇したら、脳がバグって気を失うのも無理ないかもね。」


「気絶している間にかなり重要なことを聞き逃していた気がします。」


「気のせいだろう。」


「なんか代償とか言っていたような。」


「気のせいだろう。」


「ひょっとしたら代償のせいで僕のノートも吹き飛んだんじゃないかという。」


「本当は意識あって聞いてだんじゃないか?」


「気のせいですよ。」

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