第5話
「永井さん、こんにちは。」
「おお、おねえちゃんじゃないか。みんなー!おねえちゃんが来てくれたぞー!」
『おおおねえちゃん!』『こんにちは~』『△↓■~〆♀‡!「』
「ご無沙汰だねおねえちゃん。」
「ふふ、昨日会ったばかりですよ、永井さん。」
「ああ確かにそうだったね。ただ俺の時間軸からしたら昨日なんてものははるか昔に感じるものなのさ。年をとるたびに時の流れが早くなるように感じるそうだが、俺の場合は逆だね。年を取る度に時の流れがゆっくりに感じる。それほど日々が充実しているということだろうな。」
「それはなによりです永井さん。」
「突然話しかけられたものだからびっくりしたよ。公園に来てたなら言ってくれればよかったのに。」
「実は瞬間移動で永井さんのもとにとんできたのです。ちなみに、隣にいるのは大学院生君です。」
「おお、君が例の大学院生くんか。永井と申します、どうぞよろしく。」
「あ、よろしくお願いします。おねえさん、公園の入り口から永井さんのそばくらい歩いていけばいいじゃないですか。そんなことで瞬間移動なんて使わないで下さいよ。別に僕は逃げるわけじゃないですし。あとその能力、他人巻き込めるの強すぎませんか?あとなんか永井さんの仲間に宇宙人いませんか?」
「瞬間移動を何回か使ってみたんですけど、なかなか快適ですよ、永井さん。」
「無視しないで下さい。おねえさん。」
「おお、噂の悪魔との契約で得た能力かい。ロマンがあるねえ。あれだな、アニメだと瞬間移動って『ビュン!』っていう効果音がついているイメージがあるが、意外と無音なんだな。」
「夜間でも安心です。」
「プリウスみたいでかっこいいじゃねえか、おねえちゃん。」
「ふふ、実のところ、私はけたたましいエンジン音を鳴らすマニュアル車の方が好みなのですがね。悪魔と話し合ってオプションで効果音でもつけてもらおうかな。」
「ちょうどこれから悪魔を呼び出せるところだぜ。」
「そのようですね。魔法陣、なかなか上手に書けてるじゃないですか。」
「おねえちゃんがくれたこの本のおかげざ。」
「なんですかこの本?」
「初心者でもわかる悪魔召喚入門シリーズより 『Vol1.魔法陣の書き方』 さ。」
「おあつらえむきにも程がある本ですね。」
「大学の図書館に置いてあるそうだぜ。」
「そうなんですか!?」
「そうだよ、大学院生君。」
「随分とわかりやすく書かれていて助かったぜ。魔法陣は完成したから、後は悪魔さんが来るのを待つだけだな。」
「え、悪魔の方からきてくれるんですか。なんか呪文っぽいことを言って儀式っぽいことをするイメージがあったんですけど。」
「それはステレオタイプというものだよ大学院生君。この悪魔召喚予約サイトに時間と場所を入力して事前にアポを取れば誰でも召喚できるんだ。」
「おあつらえむきにも程があるシステムですね。」
「利便性の塊とでもいいたまえよ。」
「よし、あと3分で来るぜ。ドキドキするな。」
「大学院生君、ドキドキしているかい、それが恋だよ。」
「早く帰りたいです。」
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