第3話 最初の合格発表

2月1日、夜遅く。

午前中に受けたA校の合格発表が、オンラインで行われました。


ミライコンパス経由での発表で、ボタンをぽちっとするだけで、ババーンと結果が表示されるというもの。


「自分で押す?」

「うん!」躊躇無くぽちっ!


ぱっと表示された「ご縁がありませんでした」という、グレーの文字……。


わたしは、ショックではありましたが、「子の気持ちを立て直さねば!」という使命感でもって衝撃に耐えて「まだ、明日も受けられるから! 大丈夫!」と言いました。


そう言うしかありませんでした。


子は、ショックはショックだったようですが、それほど動揺したようには見えませんでした。


「そうだよね、明日もあるもんね」

「そうだよ! だから、今日の試験の見直ししておこうよ! 明日も似た問題が出るはずだし!」

「! 見直しはヤダ!!」


できなかったことを直視するのは嫌だったようで、見直しは拒否されました。


が、親はそんなこと言っていられないです。

子が嫌がっても、問題傾向やなにがダメだったのか、確認してフィードバックせねば。


そして確認の結果、算数以外は子の主張通り7割程度取れており。算数は2割ぐらいしか取れていなかったのでした。


合否結果とともに、合格ラインの点数も発表されており、そこから類推するに算数が3〜4割取れていれば受かっていた感じでした。


また、問題チェックをして判明したのが「算数の、完全手つかずだった後半に、解ける問題が勢ぞろいしていた」こと。


「ねぇ、これ、算数の問題、ちゃんと全部見てから解いた? 見てないでしょう。ちょっと見てご覧よ、これ」

(問題をじっと見る子)

「これもこれも、解けるやつだよね? この間、普通にスラスラ解いてたやつだもんね?」

「うわーん、解ける、解けるよおおおおお!!!」


「つまり、問題を一通り見るのはめっちゃ重要だったと」

「うぅ……すっかり忘れてた……」

「つまり、明日はそこ気を付ければ受かると」

「はい……」


「わたしも、普段の塾のテストとかでは口を酸っぱくして、まず全部見るんだよ! って言ってたけど、今回言わなかったからね……すまん」

「明日、がんばるます……」


そんなやりとりをしている間に、午後入試の結果発表時刻になりました。


自分で見る? と聞きましたが「ママが見て」と言われ、ドキドキしながらポチッとしたら、結果バーンではなく、一覧表が表示され。


「あら、一覧表だ」と言った途端に、子にスマホを奪い取られました(笑)


そして

「あったー!!! 受かった! 受かったよー!!!」

「おぉ、見せて見せて! あったあった、確かにあった! 合格だー! やったね!」


B校は特待生選抜もあったのですが、残念ながらそちらは逃していました。


特待生に受かっていたら、翌日午後は受けなくても良かったのにな〜(翌日午後もB校受験予定でした)と思ったのは、子には内緒です。


B校合格で、なんとか気持ちの立て直しもうまくいったと思っていたのですが……翌朝、問題が勃発するのでした。

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