第5話シナリオ
第6話
リザは聞いたことのある名前『ユナ=エリオット』について、同僚のウワサ話を思い出して動揺し、思わず「え?」と聞き返してしまう。するとユナは「あ、もしかしてどこかでお会いしたことがございましたか?」と首をかしげる。リザは慌てて「そんなことはございません」と首を振る。ユナは「でしたらいいのです、もしもお会いして忘れていたら大変失礼申し上げたと思いまして…」と言うのだった。なんていい人なんだ、とリザは絶句。こちらこそジロジロ見てすみません、と反省するのだった。
後日、自宅にはユナの言った通り、洋服のクリーニング代の小切手が届いたが、それと同時に招待状と手紙が同封されていた。その手紙には「先日はご無礼をお許しください。もしよろしければ私の自宅まで遊びに来てくれると嬉しいです」と書かれていた。リザは、断ることなんてできないでしょうよ、とため息をつくのだった。しかしもしかしたら転生前の記憶があるかもしれないユナに対してリザはちょっとばかり興味があったし、ユナはとても人の良さそうだったのでもう一度会ってみたいとも思うのだった。
招待状の日時にユナの自宅まで行くと、どうやらパーティーの開催だったらしく多くの人が集まっていた。こんなパーティーは前世でも今世でも初めてだ…とリザは目を白黒させるが、私今、異世界転生してるっぽいと興奮する。会場内でウロウロしていると「リザさん」と声をかけられる。振り向くとそこにはユナがいた。リザが「お久しぶりです、ユナ様」と挨拶をすると、「あなたにはユナって呼ばれたいわ、友達になりたいもの」と笑顔で言われてしまう。庶民がご令嬢を呼び捨てしていいのか考えるが、どうせ貴族に知り合いはいないし咎められないだろうと、申し出を了承し、リザ、ユナとお互いを呼ぶようにした。
二人で談笑をしていると、「ユナ様」と声がする。振り向くとそこには長身のたれ目のイケメンがいた。そしておもむろにユナの手を取り手の甲にキスをした。一連の動作を見て、リザは絶句。「おい、ユナ」と今度は同じように長身のつり目黒髪イケメンがやってくる。その男はユナとたれ目イケメンの間に割って入る。「ユーナッ」今度はかわいらしい声とともに、身長低めの甘い顔をしたイケメンがユナの背後から現れた。そこでリザは察するのだった。これは乙女ゲームだと。
ユナは適当に3人をあしらうとため息をつく。リザはつい「どれが攻略対象…?」と聞いてしまった。するとユナはものすごい勢いで振り向き食いつき気味に「もしかしてあなたもあの伝説の乙女ゲーム、『グレイトプリンス』をやったことがあるの!?」と聞いてくる。リザはぶんぶんと音を立てながら首を振り「あ、いや、私は乙女ゲーム系の転生じゃなかったみたいなので…前世の記憶はあるけど、強いて言うならば転生しても日常送ってる系の転生…?」と言う。ユナは「それじゃあきっと私たちの世界軸は本来交わることのないはずだったのね」とすぐに納得する。
ユナは自分は目が覚めたら大好きな乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わっていたと告げる。そして「本来の乙女ゲームの主人公が幸せになるルートを応援したいけど、バッドエンドで死ぬのはいやだから生活だけは改めたの」と言い、「ぜひ彼らには主人公と幸せな恋をしてほしいわ」とも続ける。リザは、多分これ無意識にみんなの好感度をあげてしまったんだな、と思うのだった。ユナは「せっかく私たちの世界軸が交わったのだからあなたとは友達になっていろいろな相談に乗ってほしいわ」と言う。リザは正直めんどくさいと感じたが、ユナの背後で「ユナを悲しませたら許さない」というオーラを出す男性が複数いるのを見て、冷や汗を流しながら相談役を了承するのだった。
ちなみに、とリザは興味本位で「ケイト王子って攻略対象?」と聞いた。するとユナはちょっと暗い顔で「そうよ、最高難易度の攻略対象よ。彼の出生の秘密を聞き出してからじゃないとルートには絶対入らないんだけど、それを知るのは主人公だけっていう設定よ。でも…」と言う。あ、これは本来悪役令嬢で絶対秘密を知るはずのユナも本当の話を聞いちゃったやつか、と思いリザは「あ、もう大丈夫」と遮るのだった
どうか、ユナを愛する彼らに幸あれ…リザはそう思いつつ帰宅するのだった。
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