第4話シナリオ
第5話
ある日、会社で同僚たちがウワサ話をしていた。
リザは興味本位に「なんの話をしてるんですか?」と近寄る。すると『ユナ=エリオット』の話だと言われる。誰だそれは、とリザが首をかしげると同僚たちは「リザちゃんは確かにこういう話全く興味なさそうだもんね」と言う。一体なんの話だと続きを問うと、エリオット家の令嬢、ユナの性格が急変したのだそうだ。以前は手もつけられないくらいの悪女で、人の恋人は奪ったり、はたまた人の成功の機会を潰したりと目も当てられない状態だったそうだ。しかし相手は令嬢ということで誰も制裁を下すことができずにいたのだそうだ。ある日ユナが階段から落ちたということで、周りは建前上心配をしたそうだが、目を覚ましたユナはまるで別人かのように穏やかで、心優しい女性になっていたので、激震が走ったらしい。そこまで聞いてリザは聞いたことのある話だと動揺する。そして「もしかして、そのユナさんって人は今様々な男性からアプローチを受けている最中だったりして」と同僚たちに言う。すると同僚たちは「なんだ、リザちゃんもなんだかんだでこういう話好きだったりするのね」という反応をした。どうやら見解があっていたらしい、とリザは苦笑いをし、まんま転生したら悪役令嬢だったやつじゃないか、と心の中でツッコミを入れる。そしてそのユナという女性はもしかしたら前世の記憶を持っているのかもしれない、とリザは思うのだった。
今日は土曜日、リザは1人の休日を堪能していた。午前中に早起きをし、映画を見に行き、ちょっとおしゃれなレストランでランチをとる、なんていけてるOLらしい素晴らしい休日なのだろう、とリザはおしゃれなレストランで食後のコーヒーを飲みながら幸せに浸っていた。そういえば転生前、前世ではこういうゆっくりした休日を過ごすことも少なかったな、と思い出す。平日の激務に終われ、土日はほぼ寝て終わっていたし、なぜ仕事を頑張るかも見出せなかったのだ。そう思うと今は、頑張った分はお給料に反映され、お客からお礼を言われることも増えた。どうやらこちらの世界の住人は皆理不尽を嫌い、仁義を尽くすタイプらしく、道を歩くだけでもありがとう、や、ごめんなさい、がしょっちゅう聞こえてくる。記憶が戻るまではそれが当たり前だと思っていたが、前世のことを思うといい世界だと感じ始めていた。
リザが思いを馳せていると隣に座っていた女性が席を立った時にリザの机の上のグラスを倒してしまう。そして中に少量だけ残っていた水が倒れた拍子に溢れてリザのスカートにかかった。女性は慌てて「すみません!」とハンカチを出し「お召し物を濡らしてしまいました…」と悲しげな顔をする。リザは「全然安物なので気にしないでください」と言うがその女性は「そういうわけにはいきません、クリーニング代と新しいお洋服をお送りするので教えていただけますでしょうか」と引き退る様子が全くない。困ったなあと思いながらも、頂けるのなら、とリザは名前と住所を伝える。女性は「リザさんっておっしゃるのね!私はユナ=エリオットです」と言うのだった。聞き覚えのある名前にリザは逡巡し、ついに先日の同僚の話を思い出すのだった。
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