第3話シナリオ

第4話

先日のサクセス社の案件を無事大成功に収めたリザは会社からボーナスをもらった。その金額に喜んでいたリザだったがいざ振り込まれると思っていた額よりかなり少ないことに疑問を感じる。明細をよく見るとかなりの税金が引かれていることに気づく。


 リザは会社前のシティ通り(会社の周りで一番おしゃれで美味しいランチが食べられる)の屋外席のあるカフェテリアで、同期のミチルと一緒に昼ごはんを食べている際に、かなり税金でお金を国に持って行かれたことについて愚痴る。正直社会人3年目は昇給に見合った税金ではないとリザが駄々をこねている横で、ミチルは貯金をしてこなかったからだと一蹴する。リザはその通りだと唸るがそれでも、不満げである。するとふと人影が目の前を横切り、リザたちのテーブルの空いていた席に急に座る。その人は金髪に帽子、そしてサングラスをかけ明らかに不審者であった。一体急に誰だ、とリザが問い詰めると、その人はサングラスを取り、赤眼の瞳を晒す。それは王家である証拠であり、よく顔を見るとその人は第一皇太子のケイト王子であった。


 リザたちはぎょっとして先ほどまでの非礼を詫びるが、ケイトは気にしていないようだった。むしろこの国の不満を聞けて嬉しいと告げる。その顔は少し寂しげであり、これはまた何か問題がありそうだとリザは感じるが、王子のスキャンダルなんてかなり面倒そうなのでそこには触れないようにする。一方で、ケイトがなぜここにいるかという話になるが、それはお忍びで国民の様子を見に来ているのだと言う。なんとかその場を適当にとり繕いさっさと終わらせようとリザは「さすが王子様は優秀ですね」と言うが、どうやら地雷だったようでケイトは「僕は優秀でなければならなかったんだ…」と回想モードに入りかける。「実はこの目はカラーコンタクトで…」と闇の深そうなケイトのセリフを搔き消し、リザは慌てて「経済政策をしてみたらどうでしょう」と提案してしまう。


 「経済政策?」と首を傾げるケイトにリザは「この国はせっかく物価も昔より高騰し豊かになりつつあるのに、労働者への賃金は変わっていない」と指摘をする。「月並みだが、労働者への賃金をあげることへの支援をし、もう少し国民がお金を持つようになったらさらに豊かになるのではないか」と続ける。口から出てきた言葉をつなげただけだったが、ケイトの心にはどうやら響いたようだった。そして「そうだね、この国の人間として生きるのだから、もっと国のために政策を考えよう」とまた闇の深そうなセリフを残し、ケイトは去っていく。


 リザはケイトがこの場から去ってくれてホッとするが、ミチルが冷静に「もうすぐ昼休みが終わるわ」と言うので、慌てて外に出て会社へと戻っていたのだった。


 ちなみに後日、ケイト王子が経済政策を打ち立てた、とニュースになったのをリザとミチルは聞いて顔を見合わせるのであった。給料が上がることは嬉しいことである、とリザは結論をつける。

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