第7話 まつり

むかしむかし、遠いお城のふもとに、仲良しの双子、摩季と花南が住んでいました。二人はいつも一緒に遊び、笑い合いながら幸せな日々を過ごしていました。摩季は少しおてんばで元気いっぱい、花南はおっとりしていて、どこか優しい雰囲気がありました。どんなときもお互いを支え合って過ごしていたのです。


ある日、お城の近くで大きな祭りが開かれると聞いた二人は大興奮。二人は手を取り合って、お祭りの会場へと向かいました。会場は色とりどりの風船やお店が並び、まるで夢の世界のようでした。目を輝かせながら、二人は一つ一つの屋台を覗き込みました。


そして、ふわふわとした甘い香りが漂う屋台を見つけました。屋台の前に立っていたのは、白髪のおじいさん。おじいさんは微笑みながら、「ようこそ! これは特別な綿菓子だよ」と言いました。


「わぁ、綿菓子だ!」と摩季が喜びの声を上げます。


「本当にふわふわしてる!」と花南も目を丸くして言いました。


おじいさんは、摩季と花南にふわふわの綿菓子を手渡してくれました。それは、ただの綿菓子ではありませんでした。綿菓子がまるで小さな雲のように、空に浮かんでいるかのような不思議なものだったのです。


「この綿菓子は、夢の世界へ行ける力を持っているんだよ。でも、食べるときに心を落ち着けて、純粋な気持ちでいることが大事だよ」とおじいさんが教えてくれました。


摩季と花南はおじいさんの言葉を守りながら、一緒にそのふわふわの綿菓子を食べました。すると、二人の周りの風景がふわりと変わり、まるで雲の上にいるような世界に変わったのです。空には虹がかかり、空中に浮かぶ小さな島々が見えました。


「わぁ、これは夢みたい!」と摩季が歓声を上げます。


「すごいね、ここが夢の世界なんだね!」と花南も目を輝かせました。


二人は、夢の世界で様々な冒険をしました。空を飛ぶ鳥たちと遊び、虹の橋を渡り、雲の上で星を数えました。そのたびに、お互いに笑い合い、優しさを感じながら過ごしました。


でも、だんだんと「帰らなきゃ」と感じ始めた摩季と花南。夢の世界を楽しみながらも、元の世界に戻ることを決めました。おじいさんが教えてくれたように、二人は心を落ち着けて、綿菓子の力を感じながら、元の世界に戻ってきました。


お祭りの会場はまだ賑やかで、風に乗って甘い香りが漂っていました。摩季と花南は、顔を見合わせて笑い合いました。


「また、あの綿菓子を食べたら、どんな冒険が待っているんだろうね」と摩季が言うと、花南はニコニコと頷きました。


二人は、心に素敵な思い出を抱えて帰路につきました。これからも、お互いに支え合いながら、また新しい冒険に出かけることを楽しみにしていたのでした。


おしまい。









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童心もどり @wanwanwan123

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