第5話 姉妹

冬の冷たい風が吹くある日、姉の絵里と妹の美咲は久しぶりに顔を合わせた。お互いに大人になってからは、忙しくてなかなか会えなかった。


「絵里、久しぶり。」美咲は少し緊張しながらも笑顔を見せた。


「うん、久しぶりだね。元気だった?」絵里は少し驚きながらも、優しく応じた。


「まあね、仕事が忙しくて。でも、姉さんは?」美咲はお姉ちゃんの近況を尋ねた。


「私も忙しいよ。でも、なんだか最近は、少し寂しいなって思うんだ。」絵里は少しだけ声を沈めて言った。


美咲はその言葉に少し驚いた。姉はいつも強いと思っていたから、こんな弱音を吐くなんて思わなかった。


「寂しいって…どうして?」美咲は少し思い悩むように聞いた。


「なんだか、私があんなにあなたを守っていたのに、今ではあなたが立派になって、私はその役割を果たしていない気がして。」絵里は目を伏せた。


美咲はしばらく黙った後、静かに言った。「でも、姉さんがいなかったら、私は今の私じゃない。小さい頃、よく助けてくれたじゃない。それに、姉さんが頑張っている姿を見て、私はいつも勇気をもらってたよ。」


絵里の目から一筋の涙がこぼれた。それは、長い間言えなかった感謝の気持ちだった。


「ごめんね、美咲。私はあなたをもっと大切にしないといけなかった。」絵里は涙をぬぐいながら言った。


美咲は姉の手を握りしめ、「そんなことないよ。姉さんはずっと私の支えだった。私たちは、お互いに支え合ってきたんだよ。」と答えた。


その言葉に、絵里はもう一度涙をこぼした。今までのすれ違いや心の中の不安が、すべて涙となって流れ出た。


「でも、これからも私たちはずっと姉妹だよね?」美咲はそっと尋ねた。


「もちろんだよ。これからもずっと。」絵里は力強く答えた。


二人はしばらく黙ってお互いの手を握りしめた。寒い冬の日の中で、暖かい気持ちが二人を包み込んだ。


そして、美咲は笑顔で言った。「姉さん、最後に一つだけ約束してくれる?」


「何?」絵里は少し驚いて尋ねた。


「どんなに離れても、これからもお互いに連絡を取り合おうね。私たち、絶対に疎遠になったりしないから。」


絵里は微笑んで、しっかりと頷いた。「約束するよ。絶対に。」


その日から、姉妹はお互いをもっと大切にし、どんな時でも支え合い続けることを心に誓った。




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