魔法の資格、約立たず

風馬

第1話

 アリオは魔法学校を卒業した。しかし、就職先はなかった。


「魔法使いなんて、もう時代遅れだよ。今は魔導機械の時代だ」


 面接官にそう言われ、アリオは何度も落ちた。都市では、魔法よりも機械が優先され、魔法使いの求人はほとんどない。地方では、伝統的な魔法使いの仕事もあったが、経験豊富な者しか採用されない。


 仕方なく、アリオは路地裏の酒場で皿洗いを始めた。


「魔法学校を出たのに、こんなことしかできないのか……」


 手のひらに小さな炎を灯しながら、アリオはため息をつく。昔は、魔法さえ学べば偉大な魔法使いになれると信じていた。だが、現実は違った。


「なあ、アリオ」


 同じく魔法学校を卒業した友人が、酒を片手に言った。


「俺たち、どこで間違えたんだろうな?」


 アリオは答えられなかった。ただ、炎を消し、皿を洗い続けるだけだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法の資格、約立たず 風馬 @pervect0731

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ