プロローグ③
「俺ら抜きで倒せないなんてだらしねー連中だ」
「情けないですね。まぁ私たちが出てくればハデスルノアも安心でしょう」
「さっさと終わらせ……」
しかし、巨漢の男が話している途中で首が落ちた。
目の前には両目を光らせたエゴンがおり、剣を横なぎにして首を切り落とした際に付着した血を振って落とす。
「こ、この!」
細身の男が持っていた小さな刃をエゴンの首元に目掛けて突き刺そうと迫るが、刃を待つ腕が切断された。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」
切断されてなくなった腕と激痛で細身の男が叫ぶ。
そこには真顔のランディがおり、冷淡に告げる。
「無駄口たたいてねーでさっさと死ね」
持っている斧で細身の男を頭頂から股まで一刀両断にした。
ランディはゴミを見るような目で死体となった細身の男を見た後、さらに奥へと続く内玄関の方まで行き、斧を一振りして破壊した。
砂埃が舞い、足元に転がった瓦礫を蹴って吹き飛ばす風で砂埃が一気に散ると、目の前には武装した兵達が多数構えており、一斉にランディに向けてとてつもない量の銃弾がランディへと襲いかかる。
だが、これまでと同様にランディは斧を円状に振り回して盾のようにすることで、かすり傷1つつくことはない。
全ての銃弾がランディを避けるかのように四方八方へ飛び、そして足元にも行き場を失った大量の弾が転がっていく。
ランディは退屈そうな顔をしてそのまま多数の兵の中に突っ込み、次々と切り刻んで殺していく。
銃器などの遠距離攻撃では意味がないと思ったのか、小刀やナイフの近接武器を手にした者達が続々とランディに向かってくる。
ランディは応戦しようとしたが、猛スピードで駆けてくるエゴンがやってきて次々と近接武器を手にしていた者らの手を切断、または即死を免れない斬り傷を与えて兵達を次々と絶命させていき、その姿はあまりにもスマートで銃弾を放っていた兵達の手を一瞬止めるほどであった。
「ムーア様の通る道に立ち塞がるな。クソ共が」
今目の前にいる男2人、エゴンとランディに対してこの場にいる者は全員が共通して悪魔を見ていると思った。
この2人には何をしても勝てる気がせず、倒している絵が全く想像できない。
倒そうとするだけ自分の命を捨てる自殺行為に等しい。
誰かが手にしていた武器を地面に落とし、全速力で逃げようとした。
その音を聞いた他の者も自分の命大事さに逃げようと走る。
一刻も早くこの場から立ち去りたい衝動に全員が駆られた。
この場にいれば確実に死ぬ。
「逃がさねぇよ」
ランディが1人も生かしておかないと言わんばかりに、逃げようとした残りの兵全員を手にしている斧の1振りで大半の者が死んだ。
エゴンが常人の目では追うことのできないスピードで走り、誰1人外へ逃すことなく肉塊へと変えていき、内玄関の中は夥しいほどの血と死体が転がった。
するとエゴン、ランディは背後にムーアの気配を感じ、急いで振り返ると同時に片膝をつき、頭を下げる。
ムーアの一歩後ろにセリーナ、ケイリンが付いてくる形で入ってきた。
「エゴン、ランディ。ムーア様はこのままターゲットに向かう。屋敷内の人間は誰1人逃さず殺して道を開けるのよ」
「貴様に言われずとも分かっている」
「あたりめーよ!」
ムーアを前にしてセリーナから分かりきったことを言われ、敢えてムーアの前で自分を貶めようとしているのかと思い、若干の苛立ちを込めた返答をするエゴンとランディ。
この時、ムーアの前で冷静に戻ったのかエゴンの両目は通常の色に戻っていた。
「アシュリン、クロウフォードの方はどうだ?」
ムーアはセリーナに現在別行動している2人の状況を確認する。
「アシュリンが先行して最上階に侵入し、クロウフォードはアシュリンを追う形で既に侵入済みです」
ムーアはセリーナとケイリンを見て指示を告げる。
「セリーナ、ケイリン。お前達は地下に行ってセカンドターゲットの元に向かえ」
「「かしこまりました」」
セリーナとケイリンは同時に答え、ムーア続いてエゴンとランディを見る。
「エゴン、ランディ。お前達らセリーナが言った通りだ。生き延びる奴が1人でもいないよう確実に殺すんだ。俺はこのままメインターゲットの元へ向かう」
「「かしこまりました」」
いつもは軽々しい態度で返事をするランディも、ムーアから直接指示を受けたせいか真面目に冷静な感じで返事をする。
指示を受けた4人は2手に分かれて早速行動を開始した。
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