第4話
「……危ういところだった、だが二度も蹴り上げたのだ。レベルも3に上がっているだろう?」
「おん、職業レベルってのも上がってんで。なんか、スキルを貰えたわ」
「スキル名は『ラストアタック』、だな? 効果は単純に自分と相手の防御力をゼロにするものだ」
「何度見てもステータスには防御力とか書かれてへんけどなぁ……、オレにはよう分からんわ」
首を振りながらそうぼやく南に対し、男騎士は余計なことを考えるなと叱咤した。
今は王城の中の部屋の一角、物置部屋を軽く掃除しそこで男騎士が戦い方に対する座学を行っている。
戦いはセンス、というのは古来より伝わっているがスキルが複雑に交差するのならばやはり座学も重要だ。
「当然だ、そもそもステータスは貴公にはほど遠い概念に等しい。貴公は後手に回ればその場で死ぬ、故にこそ先手を取り続け殺すしかないのだ」
「オレが言うんはちゃうかもしれんけどさ……、そう簡単に殺すとかどうなん……?」
「覚悟せずいざ戦うとなったときに殺さんという選択を得るのか? そうではないだろう、我らは生きるために殺すのだ。何で取り繕ったとしても、その事実を曲げることはできん。常に意識するしかない、我らは我ら以外を殺さねば生きていけんのだ」
「そうやな、確かにその通りや」
男騎士がそう諫め、南はその言葉を飲み込む。
確かに、その通りだ。
どれほど丁寧な言葉で繕っても、南は魔物を殺すことに変わりはない。
「話を戻そう、そのスキルは諸刃の剣であり。しかし、今後ステータスの上昇が見込めぬ貴公には最も重要なスキルにもなりえる」
「なんでや? 防御力が下がってもオレの攻撃力は上がらんで?」
「勿論、攻撃力は上がらない。だがダメージは通る、ダメージが通用するのならば倒せもするという話だ」
「……オレの考え違いやったら申し訳ないんやけどさ、もしかして今の俺ってダメージが発生せんほど弱いん?」
何を今更、顔で語る男騎士に南は肩を落とす。
その通りであり、今の南ではダメージが発生しないほどに弱い。
また召喚できるモンスターも同じく、ダメージが発生しないほどに現状では弱いのだ。
だからこそ、男騎士は自分の股間を蹴らせてまで南のレベルを上げた。
「貴公が召喚できるモンスターは『スライム』『ゴブリン』『コボルト』『ウィスプ』の四種類と使えもしない武器だったな、そうなればダンジョンに挑む前にウィスプを2体召喚するべきだろう」
「なんでウィスプなん? それならスライムとかの方が強いんちゃうん? ほら、物理攻撃軽減とかのスキルもあるんやろ?」
「近づけば死ぬぞ? ゆとりを持って戦うのならば、近接攻撃しか能がない雑魚モンスターよりも多少なりとも遠距離攻撃ができるモンスターを採用するべきだろう」
「なるほど、確かにそのとおりやな!!」
納得、同時に南はスキルを使うためにステータスを開く。
開いたステータスにはデカデカと、大きな文字でこう書かれていた。
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パーティー召喚(通常)
10回召喚で★3(R)確定!!
10連続召喚で★4(SSR)確定!!
〚
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南は、迷わず1回召喚を押す。
そうすれば、目の前で魔法陣が光り輝き様々な射幸心を抉る演出がなされ一つのカードが落ちてきた。
そのカードにはイラストと、HPとMPが記載されている。
「モンスターカード、だったのは幸運だが内容はゴブリンか。売りさばくが吉だな、ギルドに渡すか私が仲介して騎士に売ろうか?」
「え、売れんの? 前に召還したときはゴミだからって回収されたんだけど」
「ちっ、枢機派の連中か……。そのカードは売れる、迷宮からも時偶に出てくる代物だからな」
「ほぉん?」
「モンスターカードという名前であり、そのカードは破ることで破った人間に従属するモンスターをパーティ枠を埋める形で召還できる。カードに戻したいときは召喚者が手を付け、『送還』といえば戻せる。もっともHPの値が0となれば死に、破れた状態のカードとして二度と使えなくなるが」
そういって、南へ瓶を渡す。
中には青緑色の液体が入っており、木製コルクにより封がされていた。
南は其れを受け取り、一気に飲み干す。
「あ゛ー、マッズ」
「補助金で買ったモノだ、文句があるのなら自分のスキルを鍛え上げより良いモノが出るように祈るのだな」
「……、このカード売ったらポーション何個分?」
「このカード3枚でコレ1瓶と言った所だ、そしてウィスプを二体以上召喚できなければ絶対に私は貴公をダンジョンへ連れて行かん。祈れ、貴公にできるのは其れだけだ」
はぁ、とため息を吐き。
そのまま、南は残るポーションを飲み干した。
一気に魔力が回復し、もう一度召喚できるようになる。
南は再び、召喚ボタンを押したのだった。
パーティーガチャなんてスキルもろてもどうすりゃええんですかい 黒犬狼藉 @KRouzeki
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