第6話 僕らは星の囁きを聞く
翌朝、屋上で一緒に弁当を食べていた時、綾がぽつりと言った。
「私ね、本当は管理局から逃げ出した死神なんだ」
コートの袖をまくると、腕の数字は「89」に変わっていた。刻まれたのは残り時間ではなく、彼女が救った命の数らしい。
「焔さんみたいなのが本採用で、私は...でも」彼女はコロネを頬張りながら空を見上げた。「悠人くんが物に刻まれた記憶を読み解けるなら、きっと——」
言葉を遮るように、校庭の桜の木がざわめいた。
『おい少年』
『この娘をよろしくな』
『管理局の裏口は体育倉庫の鏡だぞ』
「...お前ら情報提供サボってねーか?」俺がツッコミを入れると、綾がケラケラ笑い出した。彼女の笑顔は、初めて嘘っぽさが消えていた。
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