第21話

智恵さんが毎日綺麗に手入れしている花壇の花を見つめていると、静かな足音が聞こえた。



そちらに目を向ければ、憎しみこもった瞳で私を見る彼女。




「…最悪。」




そう言いながらも、なぜか私の隣に座る彼女。




「私…失礼しますね。ごめんなさい。」




そう言って立ち上がれば、またまた何故か止めてくる。





「ごめん。」




少し仏頂面でそういう彼女の言葉に、私は正直驚いた。


きっとこのままの関係性なんだって。





これ以下になり得ても、これ以上にはなり得ないと。






「…言い過ぎた。

でも、あれが私の本心には違いないから。」




少し素直じゃない、でも、こちらに歩み寄ってきてくれた。


それだけが、単純に少しうれしかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る