第16話
田邊組 正和 side...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「いつまでここにいたいと思ってる?」
空の部屋を訪ねて、そう開口すると、空は少し顔を強張らせる。
「ごめんなさい。
家が見つかったらすぐ出ていきます。」
空は、何か勘違いしてるようで、その勘違いの仕方が少し不憫で、哀しくて、でも少し笑ってしまう。
「違う違う。
催促してるんじゃなく、いつまで居たいのか聞いてるだけだ。」
「?」
本当に、意味が分かっていないのか…
「こんなとこ嫌だってんなら、すぐにでも出ていって構わない。
けど、空がここに居たいと思ってくれてるなら、いつまでも居てくれていい。」
育った環境の所為か…
「…いつまで、も?」
あの人によく似た、大きな瞳が潤む。
「空が思うなら。空が思うまで。」
「私が決め、るの?」
不安気に、声は小さく。
でもどこか嬉しそうにも見えた。
「そうだよ。」
「ああ、でも。
高校卒業までは嫌でもここに居てもらう。
それはわかってくれ。」
「私が居ても、迷惑じゃないですか?」
…どれだけ言われたのだろう。
人をすぐに信用できなくなるほど、とは。
どのくらいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます