第16話

田邊組 正和 side...

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「いつまでここにいたいと思ってる?」




空の部屋を訪ねて、そう開口すると、空は少し顔を強張らせる。




「ごめんなさい。

家が見つかったらすぐ出ていきます。」



空は、何か勘違いしてるようで、その勘違いの仕方が少し不憫で、哀しくて、でも少し笑ってしまう。




「違う違う。

催促してるんじゃなく、いつまで居たいのか聞いてるだけだ。」




「?」




本当に、意味が分かっていないのか…




「こんなとこ嫌だってんなら、すぐにでも出ていって構わない。

けど、空がここに居たいと思ってくれてるなら、いつまでも居てくれていい。」




育った環境の所為か…




「…いつまで、も?」




あの人によく似た、大きな瞳が潤む。





「空が思うなら。空が思うまで。」




「私が決め、るの?」




不安気に、声は小さく。

でもどこか嬉しそうにも見えた。




「そうだよ。」





「ああ、でも。

高校卒業までは嫌でもここに居てもらう。

それはわかってくれ。」




「私が居ても、迷惑じゃないですか?」





…どれだけ言われたのだろう。


人をすぐに信用できなくなるほど、とは。


どのくらいだろう。

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