第四話 ユニークスキル”神者”
そんなこんなで受験日――。
『どんなこんなですか。』
うざいやつは置いといて、俺は今日まで王国の歴史と地理に勉強を全振りしてきた。おかげで今の俺に敵うものなどいない!!
「俺の前に、敵などいない!」
――と、思っていた時もありました。
『綺麗なフラグ回収、乙。』
最近女神、ウザすぎやしないか?
手応えはまあまあ。というのも、想定していたよりも歴史と地理が難しかったのだ。俺が来る前のティアは、真面目に勉強していなかったので、俺は一から学んだのに等しいわけだ。
で、王立学園は超難関校。歴史や地理だけ都合よく簡単になるわけもない。歴史や地理はほぼ0点だと思う。よく考えれば分かっていたことだ。
あの自信たっぷりに言った言葉を撤回させてほしい……。恥っず……。
『やーいやーいくっろれっきし〜♪』
(〇ね。)
一週間後――。
結果の通知が届いた。……封筒がとても薄いと感じるのは気のせいだと信じたい。うん。
「開けるぞ……。」
『どんまいです。』
まだ開けてねえよ。
ピリッ。
「っ!?」
俺は思わず唾を呑んだ。何故なら封筒には何も入ってなかったからだ。
フォン……。
「うおっ!?」
目の前に急に人が現れる。いや正確には3Dの映像だ。
「こんにちは、ティア=ラーファス君?」
どうやらビデオ通話の類のようだ。
「……こんにちは。」
「試験の時にスキルは確認させてもらったよ。」
……てことは、俺の中に女神(化身)がいるのも知ってるのか。
「こんにちは、女神さま。」
『お久しぶりです、校長。ティア、私がそう言ってることを伝えて?』
そういえば俺以外は女神の声は聞こえないんだったな。つか、この人校長なんだ……。
「女神は、お久しぶりです、と言っています。」
ちょっとでも伝え間違えたら殺されそう……。
「正確には化身だがな。」
そこまで知ってるのか。というか、スキルを知ることができてもなんで”神者”の内容を知っているんだ?俺は、校長にそのまま聞いてみた。すると校長は、
「実は何年かに一度、ユニークスキル”神者”を持つ者が現れるのです。しかし、"神者"に関する多くのことは、未だ分かっていません。」
と。
そういえば俺も女神には化身が頭の中にいる、ということしか説明されなかったな。その旨を伝えると、
「今までの者も同じことを言っています……。」
これから自分のスキルについても知っていかなくちゃなぁ。こんなスキルもらわなければのうのうとラブコメできたのに……。
『何か言いました?』
(いえ何も……。)
これだから、スキルについて聞く気にも、文句を言う気にもなれない。性格変えた方がいいと思うけどな。
「おっともうこんな時間。では、4月から学校で待っているよ。」
「てことは合格……?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
言ってねえよ……。
校長は、静かに消えて、封筒は燃えた。どういう仕組みだよ。ともあれ、これで俺は3年間の学園生活を得た。
「充実した学園生活を送るぞ――。」
『――と思っていた時もありました。』
(〇ね。ガチで。)
ちなみに王立学園は保護の観点から、”神者”スキルの者を優先的に合格させていて、俺はそれで受かったらしい。筆記試験は合格者100人の中で83位と聞いた。
俺、勉強ついていけんのかな――。
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