第3話 呼び出しをくらうサム

 ベッド空間のカーテンを完全に閉めて暗闇のなか寝ていたサムの自宅玄関からインターホンが鳴った。

 出てみれば、第一艦隊のモルダ司令官の部下が居るではないか。

「少々お待ちください。着替えてきます」

 サムはつなぎに着替えると、モルダ司令官の部下に司令室まで連れてかれた。

 そこに待っていたのはモルダ司令官で、サムを第一艦隊機動部隊に任命したいという。

 しかしサムはこれを拒否した。これ以上忙しくなるのは彼の心身にとって良くないと判断したためだ。

 サムは了承を得ると帰宅した。

 朝の艦内アナウンスまであと3時間あるからだ。


 翌朝、サムはまた艦内のアナウンスとともに目覚める。

 毎朝のルーティーンを済ませると、いつもどおり野菜を運ぶ。

 帰り、自宅の前にモルダ司令官が来ていた。

 サムは諦め、条件付きで起動部隊員になる。

 サムからの条件とは、毎週月曜日と火曜日は休みをいただくことと、夕方は17時上がりであることだ。

 翌日からサムは野菜運びの仕事を辞めて、司令室に出勤する。

 司令室での仕事のほうが給料が高いためだ。

 モルダ司令官からの最初の仕事は、掘られた金星の地下道の調査だった。

 調査は二人一組で行われた。

 調査終了後、サムたち二人は司令室に戻り、報告を済ませた。

 モルダ司令官は調査結果確認後、サムにタブレットを手渡し支給した。

 タブレットには第一艦隊の全体的な角度や向き、シャフトエンジンのレベル値まで数値で表示されている。

 司令官もその右腕役も、サムも同じ表示のタブレットを持っているらしい。

 サムはそばに居れば居るほど、モルダ司令官のカッコ良さに惹かれて憧れを抱くようになった。

 サムはモルダ司令官に休みの日を聞き、一緒に映画館へ行き、映画を見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る